セルバンク広報担当です。当社代表・北條元治が配信するYouTubeチャンネルの動画を、今回も記事としてわかりやすくまとめてご紹介します。今回のテーマは「災害時に”持っていても無駄なもの”を医師が解説します」。防災グッズの優先順位に悩んでいる方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
【監修】北條元治(株式会社セルバンク 代表取締役)
医学博士。東海大学医学部客員教授。肌の再生医療の専門家。セルバンクが運営する自身のYouTubeチャンネルにて、美容や医療、健康寿命に関する情報を発信している。
熊本地震や大雨、台風——ここ数年、災害のニュースを目にする機会が増えたと感じている方も多いのではないでしょうか。防災グッズをどこまで揃えればいいのか、悩ましいところです。今回は、肌の再生医療を専門とする北條医師が、医療の観点から「災害時に本当に必要なもの」と「実はそれほど必要ないもの」を解説します。特に、日常的に薬を服用している方にはぜひ知っておいていただきたい内容です。
災害時、薬が切れたらどうする?「治療薬」と「予防薬」の違い
災害などの非常時に、普段飲んでいる薬が切れてしまったらどうすればいいのか、というご相談は多いといいます。北條医師によると、「薬」とひとくくりに言われますが、実は大きく2つの種類があるとのことです。「治療薬」と「予防薬」です。
絶対に飲み続けなければならないのは、その薬が切れることで症状が出て、命や健康に直接影響が及ぶタイプの薬、つまり治療薬です。代表的な例が糖尿病の薬です。血糖値を下げる薬ですが、血糖値が高すぎても低すぎても意識障害を起こす可能性があるため、糖尿病の薬は絶対に中断してはいけない治療薬にあたると北條医師は説明しています。災害時であっても飲み続けなければならない薬なので、厳重に管理すべきだといいます。
一方で、予防薬と呼ばれるものもあります。骨粗しょう症による骨折を防ぐための薬、脳梗塞や心筋梗塞を予防するための血液をサラサラにする薬、コレステロールを下げる薬などがこれに当たります。北條医師は、これらは災害が起きて病院に行けない状況が数週間続いたとしても、それほど神経質にならなくても大丈夫な薬だと話しています。
ここで大切なのは、自分が飲んでいる薬が「予防のための薬」なのか「切れると困る薬」なのかを、災害が起きる前にかかりつけ医に確認しておくことです。「これは予防薬ですか、治療薬ですか」と聞いても答えにくい場合があるため、「災害時に1〜2日飲めなくなったら困りますか?」と直接的に聞いてみるのがおすすめだといいます。狭心症や不整脈の薬、糖尿病の薬などは、本当に切らしてはいけないタイプの薬です。主治医から「災害時や病院に行けない状況でも絶対に飲んでください」と言われている薬があれば、それは個人の防災セットに必ず入れておくべき薬ということになります。
反対に、血液をサラサラにする薬やコレステロールを下げる薬のような予防目的の薬について、医師から「予防のために飲んでいるだけです」と言われているのであれば、災害用の備蓄にまで入れる必要はないと北條医師は述べています。不要という意味ではなく、優先順位の話だといいます。私たちはどうしても「病院で処方された薬は毎日必ず飲まなければならない」と思い込みがちですが、必ずしもそうではないようです。
医師が語る、災害時に本当に必要な持ち物
続いて、薬以外の生活必需品についても、北條医師が実際に海外で被災した経験を踏まえて解説しています。
一般的に防災の備えとして挙げられるものには、トイレ、シャンプー、シャワー、食料、浄水器、ストーブ、洗濯といった項目があります。しかし北條医師は、シャンプーやポータブル電源は医学的に必須ではないと考えているといいます。これらがなくても、日常生活が多少不便になるだけだからです。北條医師自身であれば、ポータブル電源やシャンプーを備蓄するよりも、ワセリンや鎮痛剤といったものを備えておきたいと話しています。
北條医師は、断水した被災地に10日間ほど滞在した経験があるといいます。シャンプーは使えず、シャワーも入れず、トイレの状況も非常に不便だったものの、4日目あたりから慣れてきたそうです。固く絞ったタオルで体を拭くだけでも、意外と慣れてしまうといいます。多少汚れた水であっても、固く絞ったタオルがあれば十分に対応できるようになるとのことです。
日常生活でトイレやシャンプー、シャワーが使えなくなったら大変だと思うかもしれませんが、3日間その状態で過ごしてみると、それが「新しい日常」になっていくと北條医師は話します。そのため、これらの優先順位はそれほど高くないのではないかと考えているそうです。
それよりも大切なのは、暖を取るためのヒーターのようなものや、けがをした際に傷口を保護するためのワセリンや絆創膏だといいます。また、洗濯も課題の一つだったそうです。被災時にホテルに滞在していたときは、フロア全体が独特な匂いになっていたといいます。最初は不快に感じたものの、次第に慣れていったとのことです。人は同じ環境に長く身を置くと、その状況に不快感を覚えなくなっていくものであり、人間は本当に適応力が高い生き物なのだと実感したと北條医師は振り返っています。
そのため、予防薬などが手に入らなくなったからといってパニックになるのではなく、事前に「何を諦められるか」を心の中で決めておく、いわばメンタル面での準備をしておくことのほうが大切だと北條医師は伝えています。
本記事はYouTube動画の内容をもとに構成した情報提供を目的としたものであり、特定の症状に対する診断や治療を目的としたものではありません。持病がある方、服用中の薬について不安がある方は、必ず事前にかかりつけ医にご確認ください。



