複合型培養皮膚事業の承継が成立
東海大学との産業提携により日本初の「複合型培養皮膚」保険収載を目指す
~ビースーエスの「複合型培養皮膚」事業の承継が成立~
細胞保管・皮膚の再生医療のバイオベンチャーである株式会社セルバンクは、東海大学(学長:高野二郎、所在地:神奈川県平塚市北金目)との産学提携を経て、破産管財人預かりとなっていたビーシーエスの「複合型培養皮膚」事業を2009年10月28日に正式に承継しましたので発表します。
「複合型培養皮膚」とは、元来、東海大学医学部の猪口貞樹教授が発明した技術で、表皮層と真皮層の両方を兼ね備えた培養皮膚です。その技術は第一に熱傷患者の救命という社会的使命を果たすために世に送り出すことを目的としています。今年の初頭に自家培養表皮が保険適用されたことでも注目されていますが、「複合型培養皮膚」は表皮だけでなく真皮部分も合わせ持ち本来の皮膚の形状であるといえます。現在、確認申請を終了しており、次のステップである治験から製造販売承認申請といった過程に進めていく段階にあります。
セルバンクでは、この「複合型培養皮膚」事業を東海大学との産学提携を経て引き継ぎ、3年から5年の間に保険収載を目指していきます。
現在、再生医療分野ではiPS細胞に付随した様々なビジネスが注目されていますが、その本格的な事業化は制度面での整備も含めもう少し時間がかかるものと思われます。また、多くの日本における再生医療に関わるベンチャー企業が薬事承認プロセスなどで足踏み状態が続き資金繰りなども厳しくなるなど、まだまだこれからが正念場であると考えられます。一方で、アメリカを中心とした海外企業・政府の活発な動きもあり、日本における業界全体の今後の方向性が問われる時期に来ていると思われます。
そんな中、セルバンクでは美容を目的とした皮膚の再生治療と患者の細胞を保管する細胞バンクサービスをおこない、まだまだ規模は小さいものの着実に市場を開拓し黒字化に成功しています。再生医療の産業化への道はいろいろな道があると思われますが、まずはどのような手法・目的であれ実績を積んでいくことが制度面の壁を乗り越える際にも有利に働くと考えており、この道を突破口に再生医療分野を開拓できると確信しています。
今回の「複合型培養皮膚」技術の取得により、これまでは美容目的における真皮層に働きかけたサービスを提供していましたが、表皮を含めた皮膚全体の美容サービスの拡張をおこないつつ、血管や癌細胞といった複合型培養皮膚の応用による医療サービスを開拓していきます。
そして、将来的には普遍的な再生医療の恩恵に多くの方があずかることができるシステム作りを通じ、社会に貢献してゆくことを目指します。