自らの研究で確信していた再生医療の魅力
先生のこれまでのキャリアを教えてください。

私が医師になった時代は、研修医に入る前にすでに専攻を決めておく必要がありました。手術室に何時間も入って細部にまで気を遣って再建する姿に感銘を受けて、私は形成外科の医局の門を叩きました。
入局した当時の教授が「形成外科医は全身を診られないといけない」という考えをお持ちの先生で、研修医終了後は一般外科の研修に出るようにと言われました。消化器の手術はもちろん、肺がんの手術や腎臓・泌尿器の手術まで、頭以外はほとんどあらゆる領域を経験させていただきましたので、本当に鍛えられたと思います。
その後は頭頸部外科に行き、マイクロサージャリー、つまり微細な血管や神経などをつなぐ手術を始めとした再建手術を経験しました。再び大学に戻ってからは、藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)が小児の先天奇形を多く扱う施設だったので、口唇口蓋裂や指の形成手術にもたずさわってきました。
現在はクリニックで再生医療に携わっていますが、元々関心があったのでしょうか?
実は大学院の研究テーマが、真皮線維芽細胞に関する研究だったのです。まさに今のセルバンクの事業ともつながる領域です。フィブラストスプレー(褥瘡などの治療に用いられる線維芽細胞増殖因子(FGF)を主成分とした医療用スプレー薬)が世に出る前、私はメーカーからその元になる成長因子を提供いただいて、ラットの細胞がどう反応するかを観察する研究を進めていました。
成長因子を細胞に活用すると、どんなふうに線維芽細胞が活性化するのか、そしてそれが褥瘡や創傷などの治癒にどう応用できるのか――そのあたりを実験で確かめていったわけです。当時から「皮膚をどうやって治すか」「傷をどうきれいに治せるか」というテーマには、強い興味を持っていました。










