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南川整形外科病院
― 整形外科 ―

膝関節治療の専門医として豊富な臨床経験を持つ、南川整形外科病院の市村 竜治(いちむら りゅうじ) 医師。患者様に合った最適な治療を選択することを大切にし、手術以外の新たな選択肢として「自己脂肪由来幹細胞治療(膝の再生医療)」を提供しています。今回は再生医療への想いとその可能性についてお話を伺いました。

市村 竜治(いちむら りゅうじ) 医師プロフィール

南川整形外科病院 整形外科

日本整形外科学会専門医、日本人工関節学会認定医

診療科目
  • 整形外科
専門分野
  • 膝関節外科、人工関節、外傷
出身大学
  • 自治医科大学(2003年卒業)
所属学会
  • ・日本整形外科学会
  • ・日本人工関節学会

南川整形外科病院
公式サイト

どのような診療や手術を中心に行っているのでしょうか?

人工関節に関しては、日本人工関節学会の認定医も取得しておりますし、年間で50例ほどの人工膝関節置換術を担当しています。それ以外にも膝の骨切り術、靭帯再建、半月板の治療など幅広く行っています。

近年はロボット支援手術を導入しておりまして、2024年の6月から稼働しています。患者様の骨の形に合わせて3Dで術前計画を立て、ロボットと連動させながら正確に骨切りを行います。

ただ、ロボットが全てを自動でやってくれるわけではなくて、私たちが導いたプランに沿って、ロボットがガイドを示し、実際に切るのは私自身の手です。いわゆるセミアクティブ方式というものですが、ロボットと人間の技術を融合させることで、以前より精度の高い人工関節手術ができるようになってきています。

ロボット手術の精度

ロボットは、0.5mmあるいは0.5度単位で角度や切除量を調整できる精密さを持っています。術前に「何ミリ切る」「何度に調整する」といった計画を立てるのですが、それを手術中に正確に反映させることができる、という点が非常に大きいですね。

もちろん最終的には私自身の手で骨を切るので、これまで蓄積した「手の感覚」も同時に生かせます。ロボットの精密さと人の技術を合わせた手術ができるようになってきた、そんな実感があります。

導入して1年ほどたって、ようやくロボットとの意思疎通が取れるようになってきたような感覚がありますね。治療成績としても確実に向上していると感じています。

先生が膝の専門を志された経緯について教えてください。

自治医科大学を卒業後、地域医療に携わる特殊な制度があり10年間は出身の長崎県内の離島を中心に勤務していました。その期間中は整形外科、特に外傷を中心とした手術に携わる環境にいました。

膝の治療について学び始めたのは卒後11年目のタイミングです。「もう少し膝を深く学びたい」と思い、大分にある新別府病院の人工関節センターに3年間の修行に行きました。そこで膝の人工関節を専門的に徹底して学ばせていただき、今の自分の基礎ができあがったと思っています。

現在は、ほぼ膝の治療一本で毎日外来・手術をしているような形ですね。

再生医療に興味を持たれた理由を教えてください。

変形性膝関節症や軟骨損傷、半月板損傷などの方を診る中で、どうしても治療選択肢が限られてしまうことに悩んでいました。

保存療法といえば痛み止めやリハビリ、ヒアルロン酸注射、装具療法。それがだめなら骨切り術か人工関節。選択肢が非常に少なくて、「その間を埋める治療」が長年ほとんどありませんでした。

そんな中で、「副作用が少なく、理論的にも期待できる治療」として再生医療が登場し、自身の行う診療の武器として患者様のニーズに応えることができるかもしれないと感じました。

すぐに導入というわけにはいきませんので、さまざまな施設の先生方にお話を伺ったり、文献を読み込んだりして、じっくり理解を深めた上で導入を決めました。患者様の選択肢を増やすこと、患者様自身が望む治療に応えられるようにすることが、導入に至った最大の理由ですね。

膝関節に対する再生医療の位置づけ

私自身、再生医療を「第一選択肢」だとは考えていません。やはり最も効果が大きいのは手術ですし、それは患者様にも最初にきちんと説明します。ですが、「手術が怖い」「仕事の都合で入院できない」「どうしても自分の膝を温存したい」そういう方も非常に多いです。

従来であれば選択肢がなく、手術以外となるとヒアルロン酸注射を続ける程度しかできなかったのですが、そこに再生医療という「中間の治療」を提案できるようになった。これは大きな前進だと感じています。

再生医療の安全性

当院で扱っている再生医療は、基本的に患者様ご自身の細胞を使用するものです。ですからアナフィラキシーのような強いアレルギー反応の心配はほとんどありません。感染症なども、今のところ経験しておりません。

整形外科の場合は関節内へ注射する治療が中心となります。注意すべきは注射に伴う感染リスクですが、これはヒアルロン酸注射でも同じ注意が必要です。そういった点をしっかり管理していれば、安全性は比較的高い治療だと考えています。

診療で大切にされていることは何でしょうか?

私が何より大事にしているのは、「患者様にとって最適な医療を提供する」ことです。そのためには、私自身が持つ知識を常にアップデートする必要がありますので、学会には積極的に参加しますし、毎年必ず研究発表を行うようにしています。

また、新しい知見に触れることはもちろんですが、同時に、昔から行われてきた治療の歴史や基礎的な文献も読み返して、幅広い視点を持つことを心がけています。

私は最新の治療をすぐに取り入れることを正しいとは思っていません。大事なのは、新しい治療と従来の治療、それぞれをしっかり比較し患者様に一番合う方法を選ぶことです。たくさんの選択肢の中から、その患者様にとって何が正しいかを見極めていく、それが医師の役割だと思っています。

そして、診療では患者様の意見をしっかり聞くことも非常に重要です。その上で、医師としての考えもしっかりお伝えし、お互いが納得した形で治療方針を決めていく――そのプロセスを大事にしたいと思っています。

治療における先生の強み

「治療の選択肢が多い」ということ。保存療法から手術、再生医療、そして入院治療まで、必要に応じて幅広くご提案ができます。

選択肢が一つしかないと、医師としても患者様にとっても最適な治療を選ぶことが難しくなります。その点、当院では複数の治療の中から選ぶことができるので、患者様が納得できる治療を共に探すことができます。

印象に残っている治療エピソードはありますか?

特に印象に残っているのは、両膝を患われた患者様のケースです。

片方はすでに人工関節の手術を行っていて、もう片方も本来であれば人工関節が適応になるほどに変形していました。

けれど、その方は「できるだけ自分の膝で生きたい」という強い思いがありまして、当院で再生医療の治療を選ばれました。

正直、それまで私は人工関節と同じレベルの効果が出るとは思っていませんでした。ですが、治療後は痛みが大きく軽減して、毎月のように旅行に行かれるほど活動的になられ、外来で旅行のお話をされるたび、こちらも嬉しくなります。

再生医療の可能性を強く感じた、忘れられない症例ですね。

医師としてのモチベーションは何でしょうか?

やはり患者様から「良くなりました」「この治療を選んでよかったです」という言葉をいただけたときです。患者様が思い描いていたような治療効果を得られた、そう感じることができる瞬間をモチベーションにしています。

最後に、膝の治療を検討されている方へメッセージをお願いします。

膝の治療というのは、まだまだ発展途上の分野です。新しい技術や材料がどんどん出てきているので、これから大きく進歩していく領域だと思います。

その中でも再生医療は、今後の中核的な治療の一つになる可能性を持っています。ただし、「再生医療なら何でも治せる」という誤解が広がらないよう、正しい知識を持って選択していただくことも非常に大切です。

再生医療も、保存療法や手術と同じく「選択肢の一つ」に過ぎません。その中から、患者様にとって最も良い治療は何か、一緒に考えていけたらと思っています。

南川整形外科病院の基本情報

施設名
南川整形外科病院
診療科目
整形外科、内科、リウマチ科、麻酔科、リハビリテーション科 、形成外科、スポーツ整形外科
理事長
南川博道
病院長
南川智彦
電話番号
診療予約
092-891-1555
※受付時間 平日10:00~16:00
リハビリ予約
092-891-1237
※受付時間 平日8:45~17:30
代表番号
092-891-1234
※ご予約以外は代表電話へお電話ください
住所

〒819-8533
福岡県福岡市西区姪の浜4-14-17

公式サイト
http://www.minamikawa-hp.com

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