今回のゲストは、前号でもご登場いただいた変形性膝関節症治療の専門家、保田真吾先生。
「すこやかに生きる」をテーマに、オンとオフの効果的な切り替え法などについて、オンライン対談で、その極意をうかがいました。
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トークセッション
vol.37
2022 summer
Talk Session
保田真吾
医師、
膝の痛み専門 大阪梅田セルクリニック院長
北條元治
すこやかライフは自然に親しむ休日から
再生医学に惹かれ、臨床応用の道へ
- 北條
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今日はいつもと様子が違い、大阪におられる保田先生とは、オンラインでの対談となります。先生、どうぞよろしくお願いします。
- 保田
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こちらこそ、よろしくお願いします。
- 北條
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先生はもともと広島大学医学部を卒業された後、京都大学の大学院に入られたのですよね。
そこでは、どんな研究を? - 保田
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当時は主に細胞が増殖するメカニズムや脳内の神経回路がどのようにできるのかといったことを研究していました。ご存じのとおり、こうした研究ではマウスを使うことが多いのですが、そのマウスを再生医学の技術を用いて遺伝子を改変、あるいは完全にノックアウトした状態のものを理化学研究所と共同で作りました。
それが再生医学との出会いですね。 - 北條
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その頃の主流はES細胞(動物の「卵」から作成する細胞)でしたね。
- 保田
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ええ。そのうち近くで研究していた山中伸弥先生がiPS細胞を誕生させ、ますます再生医学が盛んになっていきました。そのあたりから、私も再生医学にとりつかれて、それを追求し、今に至っています。
- 北條
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私の場合は、形成外科という培養皮膚の臨床をずっとやっていて、途中から生理学の基礎研究に入りました。その後、細胞の培養や脂肪由来幹細胞の分野に進み、臨床より細胞をつくるという方向に特化して、今では臨床をサポートしています。
保田先生が使う脂肪由来幹細胞を当社が作り、保田先生がその脂肪由来幹細胞を使って臨床を行うという関係ですね。
再生医療は膝治療への確かな光
- 北條
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先生はこの春、理想の関節治療を実現するために「膝の痛み専門 大阪梅田セルクリニック」を開院されましたが、普段の診療で大切にしていることは何ですか?
- 保田
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やはり患者さんを大切にするということです。
そのためには、礼儀正しくして患者さんの信頼を得て、患者さんと仲良くなりたいと、いつも思っています。そのうえで臨床を実践したいですね。
近年、膝への再生医療は実用化が進み、研究データも積み上げられています。そうしたデータのどれを見ても「膝への再生医療は効果がある」というエビデンスが出ています。これからはもっと盛んになり、さらに技術も進むはずですから、たゆまずに追究することが大事だと思っています。 - 北條
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2年ほど前、『セル』という影響力の高い海外の学術雑誌に、変形性膝関節症について発表されたすべての論文を解析した文献が掲載されました。確かに、そこにも変形性膝関節症において再生医療の安全性は確立されているといったことが書かれていました。
これまで治療法がないに等しかった変形性膝関節症にとって、再生医療は有効だと確信しています。 - 保田
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そうですね。変形性膝関節症は決して珍しい疾病ではないにもかかわらず、これまで治療といえば人工関節を最終手段として、その手前の治療がありませんでした。当院に来られる患者さんからも、「整形外科に行っても湿布とロキソニンをもらう程度だった」とか、「何度かヒアルロン酸注入をしたが何も変わらなかった」、「その後の治療提案が何もなかった」、という声を多く聞きます。それだけに再生医療での治療は非常に大事なものだと思っています。
- 北條
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変形性膝関節症に限らないことですが、何らかの方法で積極的に治療できる疾患というのは、それほど多くはありません。その中で安全で確実な効果を期待できるのが再生医療です。
- 保田
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安全性が高いのは、自分の組織を使用するためだということは、皆が納得しているところですね。論文上でも副作用は報告されていません。
- 北條
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ただし、培養の費用がかかるなど、膝の痛みに悩む人すべてが治療するには難しい部分があるのも事実なのですが。
- 保田
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そうですね。今後はできるだけ安価に実施できるようになるのが理想だと思います。
- 北條
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かといって変形性膝関節症は罹患する人はとても多いので、公的保険に組み込むのも難しい。そのあたりをどうするかが課題ですね。
休日は農業、旬のおいしさを楽しんで
- 北條
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先生のライフスタイルについても教えてください。オンとオフの切り替えを、どのように図っておられますか?
- 保田
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クリニックがあるのは梅田という大阪の中心部ですが、私の住まいは舞鶴といって京都府北部の日本海に面した町にあります。日本三景に数えられる天橋立のそばで、ある意味、リゾート地に近いところです。つまり、住んでいるだけでリフレッシュできる環境にいるのがうまい切り替えにつながっているかもしれません。
あと、近くにある妻の実家が農業を営んでいるので、私も休みの日は一緒に田んぼの世話をしたり、トラクターに乗ったりして農業を楽しんでいるんですよ。 - 北條
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実は、私の実家は専業農家で、トラクターや軽トラには小さい頃から親しんできました。
ちなみに先生、お住まいから梅田に通っているんですか? - 保田
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通うことも多いですよ。120キロほどの距離なので、車を使えば1時間半程度で着きますから。
- 北條
-
120キロ、ですか?
- 保田
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途中ほとんど高速道路なのでたいしたことはありません。
- 北條
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それならいいかもしれませんね。私も田舎育ちなのでわかりますが、田舎は30キロの距離でも「すぐそこ」って言いますからね(笑)。ところで保田先生、運動は何かされていますか?
- 保田
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私は中学、高校と野球部だったので昔はいやというほど走りました。なので、今はあまり走りたくなくて、もっぱらウォーキングですね。
- 北條
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ほう、野球ですか。私は長野の雪深いところで育ったので、子どもの頃はスキーをしていました。
大人になってからは最近までスポーツジムに通っていましたが、今はコロナ禍で行けなくなったこともあり、自転車にシフトしています。 - 保田
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自転車はいいですね。私も以前はロードレーサーというスピードの出るイタリア製のものに乗っていました。
- 北條
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私は今、カーボン製の自転車が欲しいんです。
- 保田
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いいですね。自転車は膝にもやさしいのでおすすめです。
- 北條
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確かに、膝に負担がかからない気がします。その点、マラソンは着地をするとき、片方の脚に一気に体重がかかるので膝にはよくないといいますね。
- 保田
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はい。マラソンは急に始めると、本当に膝を痛めてしまうので、長く走っていないようなら、いきなり始めないほうがいいです。
対して、自転車はいきなりでも大丈夫な運動です。
- 北條
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あと健康と直結するのが日々の食事ですが、そのあたりはいかがですか?
- 保田
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幸い田舎に住んでいますから、季節の野菜と魚はご近所の方からいただくことが多いですね。ですから、あまり意識しなくても旬のものを摂っていることになります。
気をつけているといえば、体重コントロールですね。体重増加は膝に負担をかけますから、時々は体重計に乗るようにしています。
あと、私は自分で果樹園をつくっていますから、季節の果物は年中とれたてを食べていますよ。収穫が一番多いのはブルーベリーで、100本以上の木があるため、とても自分たちだけでは食べきれず、農協に持っていったり、自宅で販売したりしています。
ブルーベリーは日持ちがしないので、自分で作ると一番おいしいときに食べられるんです。 - 北條
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わかります。私の実家ではスイカを作っていて、やはり販売していましたが、家でも毎日のように食べていました。たくさんあるので、種のないところだけ口に入れるといった、何とも贅沢な食べ方でした。きっと先生もブルーベリーのおいしいところだけ食べてという感じなんでしょうね。
- 保田
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やはりジューシーなものを選んで食べますね。そうでないものはジャムにしています。
- 北條
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都市部での診療と自然の中でのオフタイムが心身の健康の秘訣ですね。
今日は、ありがとうございました。
保田真吾先生プロフィール
京都大学でアルツハイマー病などの神経変性疾患の病態解明と治療法の開発に取組み、医学博士を取得。また、准教授として再生医学の応用研究に従事し、国際的評価の高い学術誌に研究成果を発表してきた。
整形外科医としては、人工関節置換術や膝関節鏡手術を数多く経験。整形外科医としては、人工関節置換術や膝関節鏡手術を数多く経験。公的病院にて医長や副院長、院長代行などを務め、病院全体を管理する仕事にも携わってきた。
変形性膝関節症の症例は10,000例以上を経験※。さらなる理想の関節治療を実現するため、2022年3月「膝の痛み専門 大阪梅田セルクリニック」を開業。「和顔愛語 先意承問」の精神で、丁寧な診察を心がけている。
※当社調べによるデータ(調査時期:2019年4月~2022年3月)
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