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セルバンク・インサイドストーリー
セルバンク代表 北條元治のインサイドストーリー
医者になったきっかけ
- 峰尾
-
医者になったきっかけを教えていただけますか?
- 北條
-
表面的には高校を卒業する時に姉が医者と結婚したので、その人の影響もあるのかなとは思います。
ただ一番大きいのは、全然変な言い方じゃないんだけど、自分にもっと自信があったらもしかしたら医学部という選択肢はなかったのかもしれない。どういうことかというと、(医者は)良い意味でも悪い意味でも食いっぱぐれがない。あるセーフティーネットが引かれるので、もし自分が突き抜けて何かやれる自信があったなら、例えば芸術とか文学とかそういう自信があったのなら、もしかしたら医学部の選択肢はなかったのかなと思ったりもする。臆病だったのかもしれないね。 - 峰尾
-
いろんな思いがあって医者になったということですね。
海外で研究生活をしていた頃に印象的だったこと
- 峰尾
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形成外科時代にペンシルベニア大学で培養皮膚の研究をされていたということですが、どのような研究生活でしたか?
- 北條
-
1年弱しか行ってないから研究といってもそんなに研究をやっているわけではなくて、形成外科一般を見てきたんだけれども。一番印象に残っている言葉は、日本人がアメリカに行く時にやっぱり言葉の壁は非常に強いので、もちろん英語の勉強はやっていくけど、それから向こうの人たちもすごく外国人に対して分かりやすい英語をしゃべってくれるからその辺はすごくやりやすかった。
一つ覚えているのがやっぱり外国の人たちがアメリカに勉強しに来たり、留学しに来たりするけど、「大切なのは語学力じゃないよ」というのにすごく衝撃を受けたというか、当たり前だなと思って。それはすごく今でも覚えているかな。
例えば「数学と物理を学ぶ時に語学力があって物理と数学のセンスがまあまあの人と、語学力が全然ないけど数学と物理のセンスがピカイチだったら、どっちを入学生として取って、どっちを弟子にしたいか?というとやっぱり語学がしゃべれない方だよ」と言われた時は納得した、すごく合理的だなと思った。
- 峰尾
-
勝手なイメージで語学力がないともう成り立たないものだと思ってました。
- 北條
-
日本人は特にそう思いがちだけど、でも大陸の人とかはどんどん飛び込んでいくし、あと日本人は英語がしゃべれないというコンプレックスも持ってるけど、でも基本的に峰尾も俺も中高とやっているので片言でもコミュニケーションが取れるんですよ。
だから英語はしゃべれる民族とは見られてるみたいだけどね。だから日本に来た外国人でフランス人とかアメリカ人とか英語で普通に話しかけてくるから、だから話せる民族とは思っているとは思うし、何となく理解できて、しどろもどろにでも会話が成立するからね。
語学は本質的ではない。本質的にはやっぱり数学だったり、物理を勉強しに行くんだったら、そこの方面しか見ないみたいな、それはやっぱり本質を見るというところは「そうか」みたいな感じは思ったかな。
- 峰尾
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言葉は壁ではないんですね。
- 北條
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言葉は壁ではなくて、言葉は単なる道具であるという感じかな。
- 峰尾
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何かにチャレンジするなら突き詰めていけということですね。
- 北條
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何かにチャレンジするなら、それは何でも言えると思うんだけど、まずアメリカに留学するなら語学を習得してから行こう!みたいな感じじゃなくて、何かをやりたいんだったら、まず何もしゃべれなくても行っちゃえ!みたいな、そんなような空気は感じた。
- 峰尾
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飛び込んでいく精神ですね。
人生のターニングポイントや思い出について
- 峰尾
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そして北條さんの人生の中で何かターニングポイントになった出来事や思い出はありますか?
- 北條
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ターニングポイントはあまりないんだよね。あまり思い出とかもないな…でも学生時代から多少はお金を持っているようになった。学生時代は1カ月のお小遣いは飲み代も入れて3万円みたいな時で大して生活は変わっていないんだよね。着ている服とか好みとか、だから何かのポイントが変わって、人生が変わったということはないのかもしれない。
- 峰尾
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ご自身の軸は、昔からぶれずに来ているというところですかね。
- 北條
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良く言えば「ぶれない」だけど、悪く言うと「人間は変わんないのかな」と思うけどね。
セルバンクを起業したきっかけ
- 峰尾
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そんな医者として活躍されていらっしゃる中、セルバンクを起業されたと思うんですが、そのきっかけは何かあったんですか?
- 北條
-
それもやっぱり最初の「どうして医者になったのか」という質問にもリンクすると思うんだけれども、やっぱり赤ひげ先生になりたいとか、医学に興味を持つとか、医療に興味を持ってというところが出発点じゃなくて、何となく「セーフティーネットを築くために」みたいなところで医学部に入ったという前提があるから、医者という職業に対して天職だとかのめり込むということはなくて、臨床の方も本当に臨床をやったのは大学卒業して麻酔科、外科と3年ぐらい。
臨床をやらずにすぐに研究の方に入っちゃったから「どうしようこれから?医者としての何か、中途半端な宙ぶらりんで全然研修を積んでいないし、何もできないし…」みたいなどうしよう?どうしよう?みたいになって、だったら今まで研究していた培養皮膚の方をメインにして何かやろうかなと思って会社を作った、そんな感じかな。
- 峰尾
-
研究で培養というところに携わっていたから?
- 北條
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分子細胞生物学とか細胞培養とか、その当時「再生医療」なんて格好良い言葉がなくて、培養皮膚とか培養軟骨とか培養角膜と言っていたぐらいだから、そういう培養するという地味なところから入って「どうしようかな?医者としてほとんど研修を積んでないし何もできないどうしよう?」みたいな感じでセルバンクへ、みたいなそんな流れかな。いろんな側面はあるんだけど。
- 峰尾
-
何で細胞を扱う会社として始めようと思ったんですか?
- 北條
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一番最初に医業…患者を診るということに関してあまりこだわりがなかった、それで研究をやった。研究をやったのは、たまたま細胞培養するところだった。それでそれを生業にして起業したみたいな、そんなのが分かりやすいかな。
起業当時の思い出
- 峰尾
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起業してみて大変だったなと思うような当時を振り返って何か思い出はありますか?
- 北條
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やっぱり無知だったね。世の中を知らない、お金の仕組みなんて当然キャッシュフロー計算書、損益計算書、それから貸借対照表なんて全然読めないし、どういうような意味を持っているかも分からないし、だからその辺はやっぱり苦労したかな。
- 峰尾
-
起業当時を振り返って、また今のセルバンクと比べた時にどんな成長したなと感じてますか?
- 北條
-
今はセルバンクグループとかも入れると100人近くなってきたんだけど、ちょっとピントがずれるかもしれないんだけど、最初は「社長」と言われるとこそばゆいような感じがしたんだけど、今はやっぱりそれは自分自身で受け止めて、みんなに対して正しく公正にやっていかなくてはいけないかなというような、自分自身の成長もしたのかなと思う。
昔は甘えていれば誰かが決めてくれた状況があるけど、今は誰にも決めてもらうことができなくって、自分で決めなくてはいけない。自分で決めたことに対して自分で責任を取らなくてはいけない。お金が払えなくなったら、自分で責任を取らなくてはいけない、「全て自分の責任」みたいな、そういうようなものが大きくなっていく中で、会社と共に自分の成長というのか視点が変わった。それを成長というのは分からないけど、そういうふうになったかな。
- 峰尾
-
物理的に規模も大きくなったり、社員も増えたりとか。
- 北條
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最初の頃は社員の3、4人ぐらいの時には給料を払えなくても自分の給料なしにして、自分で夜の当直のバイトとか行っても成り立つんだけど、10人ぐらい超えると1カ月で回るお金が1,000万とか超え出すと個人でハンドルできるお金じゃないからね。その辺はやっぱり当事者意識を持ってやらないといけないのかなと思います。
YouTubeの活動で大切にしていること
- 峰尾
-
再生医療についてもお伺いしていきたいと思うんですが、一般的には敷居が高かったり、他の美容医療に比べると認知度がまだまだ少ないというところもあって、北條元治チャンネル…YouTubeも頑張ってアップしていると思うんですが、そんな活動をする中で大切にしていることはどんなことがありますか?
- 北條
-
もちろんいやらしい根性が出るんだよね。「当たったらいいな」とか「バズったらいいな」とか、「これみんな視聴回数稼げたらいいな」といやらしい感覚は起こるんだけど、やっぱり一番は正直に、人を欺かずに、そこの部分を大事にしようかなというのが一番大きいかな。そこはもうコントロールできないので、もう自分のやれることをやる。正直に正しくあまりいやらしいこと…バズればいいかなとか奇をてらうとかは考えずにやろうかなとそんな感じはいつも思っている。
- 峰尾
-
引き続き力を入れていきたいというところではありますね。
- 北條
-
そうですね。
『Honmono』のメッセージの対する思い
- 峰尾
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そしてセルバンクで発行している冊子で『Honmono』季刊誌がありますね。その中で「人生は価値あるものを探し求め旅」というメッセージがあると思うんですが、北條さんにとってそのメッセージどのように受け止めていますか?
- 北條
-
価値のあるものはいろいろあると思うんですけれども、自分の立場から言って、何を日常的に考えているか、何が人生にとって価値があるのかということだけど、やっぱり昔、私は中学の頃とかどちらかというといじめっ子をいじめるいじめっ子みたいな感じだったの。例えば、ちょっと知恵遅れな人をイジっているやつとかいるじゃない、ああいうやつをいじめてたみたいな感じで、それは別に格好つけるわけじゃなくて、あとは正直者がばかを見るみたいなやつがすごく嫌で、正直者とか普通に地道にやっている人が生きられるような…というようなのは思っていて、それが自分自身の中で正義というのはある。
ただ正義を言う時に力のないものがいくら唱えても何の実行力もないから、やっぱり力を持ちたいな、そしてその力を正しく使いたいなと思う。…俺が言った言葉じゃないんだけどね。
- 峰尾
-
受け売りですか?
- 北條
-
受け売りです。
- 峰尾
-
いい言葉だなと思って聞いていましたけどね。
- 北條
-
でも有名な言葉で「正義なき力は暴力」というし、それから「力なき正義は妄想」というのは有名な言葉だよね。いろいろな世の中の動きもあるけど、力を持ったものこそ、やっぱりそれを正しく使う。それから正義を、今言ったように子供の頃にそういうふうに思っていることをやりたいんだったら、やっぱりまずは力を持たなくてはいけないのかなと思うけどね。
好きな言葉
- 峰尾
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もう少しパーソナルなところに入っていきます。
北條さんの座右の銘や好きな言葉はありますか? - 北條
-
今言ったように「力」みたいなところもあるし、座右の銘でいうと、ちょっとピントが外れるかもしれないんだけど、「直感は過たない、過ちは判断のみ」という言葉がそれはすごく思ってますね。何かを決める時に結構即決しちゃうんです。
例えば、何かセールスマンとかでパソコンでも、マンションでも、FXの金融商品でもいいけど、何かセールスされちゃう時があるんだよね。その時に最初に「こんなのいらない」と思うじゃない。それが多分一番正しい判断で、本当に欲しいのであればその時点で直感的に欲しいと思うんだよね。「判断が過つ」というのはセールスマンに得々とメリットとか言われていく「あれ?そうかも?」と判断していくと誤ってしまうというのは、これはすごくよく感じる。
だから会社の方向性とか何かをする時はもう即断即決。その即断即決もそれが神様ではないので大体三つやると一つぐらい失敗するんだけど、考えようによっては三つあって1個失敗しても2個成功しているんだったら差し引きプラス前進しているじゃない?それでいいのかなと思っている。
- 峰尾
-
常に進むことを生きていくということで。
- 北條
-
そう常に水上歩行みたいな感じかな。YouTubeもヒットを出し続けなきゃいけないんだけど、右端が沈む前に左足を出して、左足が沈む前に右足を出してみたいな、そんな感覚はずっと持ってる。
- 峰尾
-
止まったら沈んでいきますからね。常に会社としても前進していきたいですね。
- 北條
-
それが今思うのは、そういうふうにしか生きられない人間のような気がする、良い悪いは別としてね。今はやっぱり年を取ってくると、そういうふうに生きられない人間に自分の価値観を押し付けることは駄目なのかなと思うので、だってみんな俺みたいな性格の人間だったらけんかし合って世の中はまとまらないです。みんな水上歩行していくやつと、直感で全てに決めるやつばっかりだったら世の中は成り立たないですよ。
- 峰尾
-
いろんな方がいるから成り立つ社会ですね。
- 北條
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だからそういう人たちも尊いなと思えるようになりたい。それが社訓です。
- 峰尾
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「ありがとう」という言葉を忘れずに、常に感謝の気持ちを持ってですね。
- 北條
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昔は自分が一番偉いと思っていた時期もあった。「何でこんなことできないんだよ?」とか「何でこんなことが分かんないんだよ?」とか「何でこんなものができないんだよ?簡単なのに」と思ってたけど、違うんだなと思った。そういう感覚はやっぱり人を傷つけたりするということも知った。
- 峰尾
-
いろいろなターニングポイントもありそうな感じですね。
- 北條
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いろいろなちょこちょこターニングポイントはあるのかもしれないけど。
- 峰尾
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過去は振り返らないということですね。
- 北條
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過去は振り返るんだけどね、でもやっぱり負けず嫌いだから良い経験とか悪い経験は未来の自分が過去の自分をジャッジすることじゃない、あれが良かった、悪かったって。
未来の自分…例えば10年後の未来の自分は、今の自分をジャッジして今の自分を否定したくないから肯定するように生きていきたいなと思ってる。
- 峰尾
-
常にHonmonoとして活躍されていらっしゃるかもしれませんが。
- 北條
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そうですね、人生はHonmonoを追い求めていって否定せずに。
- 峰尾
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今後もそんな姿勢であり続けたい?
- 北條
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そういう生き方も意外とつらいんですけどね。
セルバンクのHonmonoとは
- 峰尾
-
セルバンクとしてセルバンクHonmonoは何だと思いますか?
- 北條
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多分再生医療は時間軸を問わなければ必ず実現させられるというか、必ず実現する技術だと思うんです。「時間軸を問わなければ」というところが曲者で、多分時間軸を問わなければ、例えば脊髄損傷を治すとか椎間板ヘルニアを治すとか、そういうような現在の医療ではできないことが可能になる。これは時間軸を問わなければ、そういうふうになる。その時に何らかのランドマークみたいなものを残したいと思うね、セルバンクとして細胞を保管するということで。
- 峰尾
-
ありがとうございます。
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