肌の再生医療とは?
肌の再生医療の安全性
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肌の再生医療の歴史
肌細胞(真皮線維芽細胞)を移植することで肌の若返りを目指す「肌の再生医療」は、1990年代にUCLAのオルガ・マルコ博士によりその治療原理が確立され、2007年にアメリカのFDA(厚労省に相当)により、その治療効果と安全性が確認されました。(エビデンスの確立された医療)
2002年に東海大学での熱傷用の培養皮膚の開発・研究をしている研究室経由で日本に紹介されました。オルガ・マルコ博士の治療原理と細胞培養方法が記された分厚いファイルはまさに熱傷治療を美容に応用する内容が書かれていました。その内容は今まで延べ2万人にも上る患者さんが治療を受けることになる内容でした。すべては「安心安全に配慮して、しかも自然で健康的な肌を手に入れる」というコンセプトに通じています。
再生医療の肌の再生医療の安全性
「肌の再生医療」は、根拠(エビデンス)に基づく医療※1)です。
開発されたばかりの「新しい治療法」は、時間をかけ症例数を重ねることでエビデンスを蓄積してゆきます。当然、「新しい治療法」の中には、エビデンスを蓄積できず消えてゆく治療もあります。むしろ、エビデンスが無いとして消えてゆく治療の方が圧倒的に数は多いのです。星の数ほどある「新しい治療法」がエビデンスというふるいにかけられ、選りすぐられた治療のみが標準治療と呼ばれます。
残念なことに「標準」という日本語には「並」とか「平凡」とか「松竹梅のなかの竹」というニュアンスがあります。このニュアンスのせいで「標準治療」とは、「良質な治療には及ばない治療」もしくは、「最良ではない並みの治療」という誤った感覚を我々に抱かせてしまうのです。しかし、「標準治療」とは英語の「standard therapy」を機械的に訳しただけで、そもそも「standard therapy」には、「良質な治療」、「優秀な治療」というニュアンスが含まれています。「standard therapy」とは、時間をかけ、多くの専門家の厳しい目に晒されエビデンスを蓄積した治療、すなわち「良質な治療」、「優秀な治療」なのです。
治療に関する根拠論文より
- 1)Watson D, Keller GS, Lacombe V, Fodor PB, Rawnsley J, Lask GP. Autologous fibroblasts for treatment of facial rhytids and dermal depressions. A pilot study. Arch Facial Plast Surg. 1999 Jul-Sep; 1(3):165-70.
1999年発表。培養した自己真皮線維芽細胞が、顔のしわ・たるみ、陥没などに有効か10人の成人に対して(age range, 24-69 years)治療を行い、6ヵ月後に効果判定(写真、皮膚のシリコン鋳型模型)と、治療部位の顕微鏡的な検査を行った。結果、10人中9人が60%-100%の改善を示した。すなわち、しわが減少し治療部位の真皮コラーゲンが増加していたため、この治療は有効であると結論できた。 - 2)Boss WK Jr, Usal H, Chernoff G, Keller GS, Lask GP, Fodor PB. Autologous cultured fibroblasts as cellular therapy in plastic surgery. Clin Plast Surg. 2000 Oct; 27(4):613-26.
2000年発表。米国Isolagen社が行う「培養した自己真皮線維芽細胞」による治療は、3000人以上に治療を行い非常に良好な結果を得ている - 3)Boss WK Jr, Usal H, Fodor PB, Chernoff G. Autologous cultured fibroblasts: a protein repair system. Ann Plast Surg. 2000 May; 44(5):536-42.
2000年発表。培養した自己真皮線維芽細胞による治療は、皮膚の皺だけではなく、にきびや妊娠線にも有効である。これらの事実は現在までにアメリカだけで1450人、ヨーロッパを含めた全世界で4800人が培養した自己真皮線維芽細胞による治療を受けている。この治療の学術的に中心となった大学は、米国New Jersey大学医学部、Hackensack大学医学部で、94人の長期フォロー(3年―4年)を行った。 - 4)Weiss RA, Weiss MA, Beasley KL, Munavalli G. Autologous cultured fibroblast injection for facial contour deformities: a prospective, placebo-controlled, Phase III clinical trial. Dermatol Surg. 2007 Mar; 33(3):263-8.
2007年発表。培養した自分自身の真皮線維芽細胞が、顔のしわ・たるみ、陥没などに有効な治療であるという報告・症例が現在(2007年時点)まで数多くなされてきている。培養した自己真皮線維芽細胞による治療が米国で正式な治療となるためにFDA(米国厚労省)に申請する最終臨床治験(フェーズ3)を行いった。臨床試験は厳格にFDA(米国厚労省)の求める二重盲検法(注)を215症例に行い、安全性・有効性に対して非常に良好な結果を得た。 - 注)二重盲検法:外見からは見分けのつかない、①培養した自己真皮線維芽細胞の入った注射と、②培養した自己真皮線維芽細胞の入っていない注射を用意し、検査コーディネーターだけが、どの患者に本物の治療(①)をしたかを知っている。治療患者はもちろん治療担当医師も、自分が使っている注射器が本物(①)か、偽者(②)か知らずに治療をし、治療を受けているため、偏見に惑わされること無く、本物の正確な治療効果測定ができる。
- 5)Zhao Y, Wang J, Yan X, Li D, Xu J. Preliminary survival studies on autologous cultured skin fibroblasts transplantation by injection. Cell Transplant. 2008; 17(7):775-83.
培養した自己真皮線維芽細胞による治療は皮膚にどの程度のコラーゲンを作るのかウサギを用いた動物実験を行った。ウサギの治療部位を採取し、顕微鏡での検査を行った。結果はタイプ1型コラーゲンよりも、3型コラーゲンが多かった。皮膚の大きなしわは1型コラーゲンが関与し、細かなしわは3型コラーゲンが関与しているため、培養した自己真皮線維芽細胞により治療は、細かなしわ(ちりめん皺)により有効であると考えられる。 - 6)培養真皮線維芽細胞移植による顔面皮膚の若返り術
肌の再生医療は、ご自身の皮膚から細胞を抽出し培養して増えた細胞を、肌の老化の気になる部分に移植することで「若返り効果」「抗老化」が期待できる治療です。
上記で述べた「安心安全に配慮して、自然で健康的な肌を手に入れる」というコンセプトにある通り、ご自身の細胞を移植するので安全に配慮した治療ができ、細胞の力だけで治療するため自然な治療効果が期待できます。
安全性の3つのポイント
①不自然になったり、失敗のリスクが極めて低いです
自然な方法で行うため、肌を痛めつけることはありません。細胞同士の有機的なネットワークや細胞による自然な回復力だけによる治療であるため、不自然な結果になったり失敗するリスクが極めて低いです。
②ゆっくりと確実に肌が再生されていきます
ゆっくりと、しかし確実に肌が再生され、肌全体の質と機能が回復していきます。そもそも人体は、切る、人工物(異物)を入れる、熱するというメージを与えられるようにはできていません。不自然な身体反応を起点とする治療を避けています。
③半年ほどの期間をかけて穏やかに回復した後、その状態が数年に渡って持続します
熱傷治療用の培養皮膚と全く同じ細胞を用いた治療です。熱傷治療に用いた培養皮膚に効果の持続時間が無いのと一緒です。したがい、半年ほどの期間をかけて穏やかに回復した後、その状態が数年に渡って持続します。1年半前後で定期的に細胞を追加補充することで、更なる肌再生効果が見込めます。ただし、効果は非常にゆっくり現れますが、半年ほどたっても全く効果が現れないことなどはありません。効果が全くない場合には、移植に用いた肌細胞そのものに何らかの問題(活性度、個数、同一個体認証)があった可能性が高いと考えられます。
参考
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※1)根拠に基づく医療(こんきょにもとづくいりょう、evidence-based medicine, EBM)とは、「良心的に、明確に、分別を持って、最新最良の医学知見を用いる」("conscientious, explicit, and judicious use of current best evidence")医療のあり方をさす。エビデンスに基づく医療とも呼ぶ
(引用:ウィキペディア『根拠期の基づく医療』)
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