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肌の糖化について

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糖って老化の元凶かも?

私たちの体は、脂質・糖質等をエネルギーにして活動していますが、必要以上の摂取は肥満や糖尿病など様々な病気の原因にもなります。しかも、糖の摂りすぎの困ったところはそれだけではないのです。

「糖化」という言葉を聞いたことがありますか?
「糖化」とは、私たちの体を構成しているタンパク質と、摂取した糖が結びついて変異し「最終糖化産物(AGEs)」になることを言います。これだけ聞いただけでは、ピンと来ないかもしれませんが、実はこの「糖化」老化の元凶かもしれません。

以下は、あくまで「糖化」の一側面を説明しただけにすぎないことを肝に銘じて読んでください。まず最初に我々の体はホメオスタシス(恒常性)と呼ばれるバランス機構がはたらいています。したがい糖質の摂取がすぐに「糖化」を引き起こし、老化に直結するということを言いたいわけではありません。以下の記述は、糖質の過剰摂取が長期にわたり、高血糖(糖尿病という病気ではい)という状態が恒常的なった時点で、「糖化」が起こるということが大前提になっています。
逆に言うと、通常の健康的な食生活をしている限りにおいてで「糖化」は起こりません。健康的な食生活とは何かを考えたとき、糖質の適量摂取無くして健康的な食生活は成立しないことを覚えておいて以下の文章を読んでください。

糖+タンパク質→最終糖化産物(AGEs)

糖化で起こる体の異変

食事から過剰な糖質を摂取することで、身体のエネルギーとして使われずに余った糖質とたんぱく質が体内で結びついてしまうと、糖化されたたんぱく質によって、最終的にAGEs(Advanced Glycation End Products/糖化最終生成物)と呼ばれる悪玉物質が大量に作られます。血管、骨、内臓、筋肉、肌、髪の毛と、私たちの体の多くはたんぱく質から構成されていますが、AGEsはたんぱく質を攻撃し、その機能を低下させてしまいます。この糖化反応は、ごく自然な反応なので、体の中で糖とタンパク質が出会うだけで起こってしまいます。

糖化が血管や内臓に与える影響は深刻です。

血管の組織が糖化によってもろくなると血管壁に炎症が起こりやすくなってしまい、動脈硬化となるリスクが高まります。当然動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などの恐れがあります。

血糖値の高い方の血流が悪くなるのは、血管のコラーゲンが糖化し、硬くなってしまうためです。

また、腎臓は体内を巡って老廃物を含んだ血液を濾過して尿を作りますが、この濾過する膜はたんぱく質でできているため、これが糖化するとフィルター本来の働きを失い腎機能が低下してしまいます。すると血液中のたんぱく質が尿に漏れ出すことで、尿たんぱくの症状が出てしまいます。さらに、骨では骨粗鬆症、目ではドライアイや白内障、網膜症なども糖化が引き起こしていると言われています。

糖化は、アルツハイマー病との関連も指摘されています。健常な高齢者の脳と比べて、アルツハイマー病患者の脳には約3倍のAGEsが蓄積されていたという報告もあります。また、糖尿病患者は腎臓や目の細い血管がAGEsによってもろくなってしまうため、合併症になる危険性が高まってしまいます。

このように、糖化は“老化”と“病気”の大きな原因となってしまうのです。

糖化は体のいたるところで起こります。

骨のコラーゲンが糖化すると「骨疾患(リウマチ、痛風など)」になります。

血管のコラーゲンが糖化すると「動脈硬化」になります。

肌のコラーゲンが糖化すると「しわ、たるみ、くすみ」が起こり肌のハリや艶が失われ、「肌の老化」がどんどん進んでしまいます。

AGEs排出時間は通常の細胞の2倍!肌で糖化が起こると肌の老化(しわ、たるみ、くすみ)/血管で糖化が起こると動脈硬化/骨で糖化が起こると骨疾患(リウマチ、痛風)など様々なリスクがあります。

糖化による肌へ影響

たんぱく質の糖化による影響には「褐色化」「硬化」「脆弱化(もろくなる)」が挙げられます。

肌への糖化による影響は、主に表皮での褐色化と真皮での硬化です。

肌の中での代表的なたんぱく質は、コラーゲン繊維やエラスチンです。

肌は表皮と真皮の 2層構造で、肌の張りなどの弾力機能に深く関わりがある真皮には、体内コラーゲンの約70%が存在し、残りは骨や臓器に存在しています。

表皮における糖化の影響

  • ・肌の透明感の低下
  • ・肌が黄色くなり、くすむ
  • ・ターンオーバーが遅くなりシミができやすくなる

特に糖化を実感しやすいのは表皮での褐色化です。こんがりキツネ色でわかるとおり、AGEsは褐色で硬いのが特徴です。

年齢と共に肌が黄色くくすんだようになるのは糖化の影響と言われています。

体の中でできるAGEsは、いわば老廃物です。

糖化によって生み出された老廃物が表皮に沈着すると、シミやくすみとなって肌の透明感が失われます。AGEsは、一度作られると分解されにくく、肌の新陳代謝を悪くします。特に表皮ではAGEsの蓄積によりターンオーバーが遅くなり、メラニンが排出されずにシミの原因につながります。

また、髪のたんぱく質が糖化すると、髪のハリやツヤも無くなります。AGEsは見た目で年齢よりさらに老けた印象を与える原因となってしまうのです。

真皮における糖化の影響

  • ・ハリの低下…コラーゲン繊維の伸縮性が失われる
  • ・弾力の低下…エラスチンの弾力性が失われる

糖化によりAGEsが作り出されると、コラーゲンとAGEsにより架橋構造が創り出され、組織を硬くすることが知られています。コラーゲン同士がガチッとくっついて硬くなり、可動性がなくなってしまうのです。すると、コラーゲン繊維がカチコチに固まってしまい、弾力のないゴワゴワした肌になってしまいます。

※架橋構造とは、タンパク質どうしが不可逆に接着(架橋)して、その形質を変化させる現象のこと。

糖化を防ぐ方法

老化促進物質であるAGEsを生成する糖分は、人間が生きていくための重要な栄養素ですので、糖分の摂取は必要です。エネルギーとして細胞の中に入った糖は悪さをしません。まずいのは、細胞の外にいる糖、つまり過剰に摂取したことで余った糖が血液中にいること(血糖値が高い状態)です。これが糖化のリスクを上げてしまいます。

AGEsを減らすためには、糖とタンパク質の接触を減らすことが重要です。まずは、急激な血糖値の上昇や高血糖状態が続くのを防ぐことが対策になります。

食生活で糖化を防ぐ

血糖値を上げにくい食品を摂る

GI(グリセミック・インデックス)値という言葉を聞いたことはありませんか。ブドウ糖の血糖上昇率を100とした場合、血糖値の上昇する割合を数値化したものをGI値といいますが、GI値の数字が低い食品ほど血糖値が上がりにくく、GI値が高い食品ほど血糖値が上がりやすいことを意味します。GI値が高い食品は軟らかく、消化吸収のいいものが多いという傾向があります。硬い食品の場合はよく噛んで時間をかけて食べるため、食後の血糖値が上がりにくいという副次的効果もあります。

つまり、できるだけ低GI値(49以下)の食品、例えば白米を玄米に、パスタは全粒粉にするなど、低GI値の食品を選んで食べることが、糖化の抑制につながります。

食物繊維の多いものから食べる

食物繊維が豊富な野菜やキノコ類、たんぱく質を含む肉・魚類を先に食べ、最後に炭水化物(白米やパン)を食べると、糖の吸収が穏やかになり、急激な血糖値の上昇を防ぐことができます。

よく噛んで食べる

早食いは血糖値を急激に上昇させます。ゆっくり噛んで時間をかけて食べることで血糖値の上昇は緩やかになります。

1日3食が基本

1食抜くことで、次に摂る食時の後の血糖値が急激に上がることがわかっています。欠食はせず、3食きちんと食べるようにしましょう。

AGEs含有量の多い食品を食べる機会を減らす

AGEs含有量は、体内で生成されるだけではなく、最初から食品に含まれており、その含有量も食品によって異なります。最も簡単な糖化対策として、AGEs含有量の多い食品をできるだけ食べないことです。

AGEs含有量が多いのは、加工肉類、揚げ物、チーズなどで、魚や野菜、果物は少ない傾向にあります。例えばニンジンは10KU、バナナ9KU、りんご13KU(いずれも100g、生の状態)程度です。

AGEs含有量が多い食品

フランクフルト(5分間焼いた豚肉)
1万143KU/90g
ローストビーフ
5464KU/90g
クリームチーズ
3265KU/30g
ツナ缶(オイル缶詰)
1566KU/90g
バター
1324KU/5g
ベーコン(電子レンジで3分間加熱した豚肉)
1173KU/13g
ポテトチップス
865KU/30g
チキンナゲット
764KU/90g
パンケーキ
679KU/30g

※単位の「KU」は「Kiro Unit(1000単位)」の略で、AGEsの含有量を表すもの

AGEs含有量の高いものを食べ過ぎないように気を付けましょう。

高温調理を避ける

AGEsは調理法によって量が変化します。つまり、コゲができやすい高温調理になるほどAGEsは増加するのです。焼く、炒める、揚げるといった調理より、茹でる、蒸すといった調理方法の方がAGEsは少なくなります。

糖化が短時間で速やかに進行する温度は155°Cくらいであると言われており、電子レンジでの調理はコゲはつきませんが、短時間で高温加熱をしているため焦げ目をつけているのと同じ状態となりますので注意しましょう。

例)鶏胸肉(90g・皮なし)の調理法によるAGEsの量

生肉
692KU
煮る(1時間)
1011KU
電子レンジで加熱(5分間)
1372KU
焼く(15分間)
5245KU
揚げる(8分間)
6651KU

このように、調理をすることで生の状態よりも格段にAGEsが増えてしまうことがわかります。しかし、食品の中のAGEs全てが体内に取り込まれるわけではありません。私たちの体の中に取り込まれるのは約10%で、そのうち7%前後が長期間体内にとどまるといわれています。

日常生活で糖化を防ぐ

最も効果的な糖化対策は食事ですが、日常生活においてできる糖化対策もあります。

食後の運動

血糖値が一番上がるのは食後1時間ですが、食事後15分以内に血糖値がは急激に上がります。そのため、食後すぐに体を動かすと食後の高血糖を落ち着かせて、AGEsを作りにくくすることができます。ウォーキングや踏み台昇降、軽いスクワット運動などを食後に取り入れてみるのもいいでしょう。

筋肉量を増やす

筋肉量が多いと、血糖値が上がりにくくなるという効果があります。

消化吸収された糖質は、肝臓でグリコーゲンという物質になり肝臓や筋肉に蓄えられるますが、筋肉量が増えるとグリコーゲンを貯蔵する量も増えます。そのため余分な糖が出にくく、血糖値上昇を抑えることができます。筋肉量を増やすには、スクワット運動などで太ももなどの大きい筋肉を鍛えるのが効果的です。

タバコの煙を避ける

タバコの煙がAGEsを増やすこともわかっています。自分で吸うだけでなく、隣にいる人の副流煙を吸うだけでも、約30分でAGEsを増やしてしまうと報告があります。

糖化は未然に防ぎ美肌につながる生活習慣を

糖化を進めないための食事や日常対策での予防方法はありますが、すでに糖化により体の中に溜まっているAGEsを分解・排泄する方法は残念ながら現時点では確立されていません。しかし研究レベルではAGEsを分解する作用のある物質が見つかっており、今後の研究で人間の体内の有効性が確かめられれば将来的には老化に関与する体内のAGEsを解消できるようになる可能性もあります。

「体のサビ(酸化)」と「体のコゲ(糖化)」この二つは肌の弾力を低下させるなどして肌老化をも推し進めます。

どちらも食事での内側からのケアで防ぐことができます。

美肌になるために、スキンケアばかりに気を取られがちですが、“美肌づくり=健康な体づくり”です。
肌の美しさと健康は表裏一体。
偏った食事や暴飲暴食、乱れた生活習慣は肌に反映されます。
加齢は誰にでも平等に訪れますが、老化は進行を止めることができるのです。

自分の生活習慣をいま一度見直して美肌づくりに役立ててみましょう。

糖化による肌の老化を治すには

肌のコラーゲン・エラスチンは、肌細胞(真皮線維芽細胞)から作られます。年齢が若く、肌細胞(真皮線維芽細胞)が多く元気な状態であれば自然に多くのコラーゲン・エラスチンを作り出し、糖化してしまったコラーゲンを補ってくれます。しかし、加齢により元気を失い減ってしまった肌細胞では、十分なコラーゲン・エラスチンをうみだすことができません。肌の再生医療は、自身から採取した肌細胞を培養し移植することで、減ってしまった肌細胞(真皮線維芽細胞)を増やすことが出来る治療法です。

肌の再生医療は、ご自身の皮膚から細胞を抽出し培養して増えた細胞を、肌の老化の気になる部分に移植することで「若返り効果」「抗老化」が期待できる治療です。

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