治療できる部位
マリオネットラインの改善方法とは?肌の再生医療での治療について
「マリオネットライン」とは
マリオネットラインとは、唇の両脇からあごに向かって伸びる2本の溝のことです。
ほうれい線は子供にもあります。したがって、ほうれい線は、もともとあったラインが老化で強調されるものです。
一方、マリオネットラインは子供のころにはありません。無かったものが加齢によって出現したものですから、ほうれい線よりも一層、老けた感じを強く印象付けるのです。
30代後半から少しずつ出現し、お年を召した50代くらいから明らかに目立ってきます。あやつり人形(マリオネット)の口が、パクパクと動くための切れ込みと似ていることから、マリオネットラインと呼ばれるようになりました。
ほうれい線とマリオネットラインの違い
マリオネットラインは鼻のから唇にかけてできるほうれい線の下である口の端からあごにかけてできるので、ほうれい線と合わせて「二重ほうれい線」とも呼ばれていますが、学術的(医学的)に、「ほうれい線」と「マリオネットライン」は全く異なります。
ほうれい線は学術用語(解剖用語)では鼻唇溝(英:Nasolabial fold)と言います。一方マリオネットラインに対応する正式な学術用語がありません。何故でしょうか?
ほうれい線(鼻唇溝)は、人種、年代や性差に関わらず程度の差こそあれ、全てのヒトに認められる普遍的な顔の構造ですから学術(解剖学)的名称がついています。鼻や耳が学術用語(解剖用語)であると同じように鼻唇溝も学術用語なのです。従い、生まれたての赤ちゃんにもほうれい線(鼻唇溝)はあります。
一方、マリオネットラインは、どの年代にも認められるというわけではありません。従い、学術(解剖学)的名称は存在せず、主に形成・美容の臨床医の間で使われている慣用語なのです。なぜ、このような堅苦しい話(学術的な話)から始めたのかには意味があります。
ほうれい線は、もともと存在していた溝(鼻唇溝)が加齢によって徐々に変形し深くなってゆくしわのことです。一方、マリオネットラインは無かったものが加齢によって出現してくるものです。これはマリオネットラインへの対処方法を考えるうえで非常に重要になります。
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「マリオネットライン」ができる原因
ほうれい線は子供にもありますが、マリオネットラインは子供にはありません。マリオネットラインが老化の象徴であるならば、お顔が子供から大人になるに従って、どのような変化がおこるのでしょうか。
お顔は、一番表面にあるのが皮膚(肌)です。その下に皮下脂肪や、表情筋、筋膜などがあります。これらの衰えが複合的に絡み合ってお顔が変化していくのです。
マリオネットラインの場合も、①表情筋、筋膜の衰え、②皮膚(肌)の衰え、③皮下脂肪の衰えの3つの要素が絡み合って出てきます。
マリオネットラインができる主な原因について、具体的に解説します。
表情筋、筋膜の衰え
最もマリオネットラインの形成に影響を及ぼすのが①表情筋、筋膜の衰えだと考えられています。頬にはバッカル・ファット・パッドと呼ばれる脂肪の塊がありますし、顔の筋肉の中で最も巨大な筋肉である咬筋(モノを噛むときに使う筋肉)もあります。表情筋が衰えることによって、今まで表情筋の力によって支えてきた脂肪を支えきれなくなり重力の影響により下方に移動してきた脂肪が「口角下制筋」(こうかくかせいきん:マリオネットラインのあたり)により堰き止められることにより出来てしまいます。
マリオネットラインの原因の6割~7割ほどが、このような脂肪の萎縮・筋膜や筋肉の萎縮です。
皮膚(肌)・皮下脂肪の衰え
皮膚(肌)・皮下脂肪の衰えによる皮膚の萎縮や弾力の低下も、表情筋、筋膜の衰えに次ぐマリオネットラインの原因となります。
その他の原因
マリオネットラインが現れやすくなる原因は他にもあります。
嚙み合わせ・歯並び
左右どちらかだけで咀嚼する癖があったり、歯並びの影響などで嚙み合わせが悪いと口の周りの筋肉のバランスが崩れます。口周りの筋肉に左右差が出ることにより皮膚のたるみが生じ、マリオネットラインが現れやすくなってしまいます。
猫背・ストレートネックなどの姿勢や表情のクセ
デスクワークをしている方など、日頃から猫背や首・あごが前に出た姿勢を取りやすいと、年齢にかかわらず広頚筋が衰えやすくなります。
広頚筋とは、顔面の表情筋が前頸部に伸びたもので、首や鎖骨下方の皮膚を上に引き上げる働きをしています。広頚筋が衰えると、首やあごにかけての皮膚も緩んでしまいマリオネットラインが現れやすくなるのです。
頬杖をつく癖がある場合も、左右の筋肉のバランスが崩れてしまい皮膚のたるみが生じやすくなります。
また、顔をしかめる事が多かったり、口角を下げた“への字口”になりやすいと、頬や口周りがたるみやすくなってしまうため、マリオネットラインができる原因のひとつとなります。
紫外線
紫外線を浴びることが多いと、お肌のハリが失われ、マリオネットラインが現れやすくなります。肌のハリや弾力を保ち、維持する役割を持つコレーゲンやエラスチンが、紫外線を浴びることで減少・変性してしまうためです。
急激な体重の変化
急激なダイエットで皮膚が余った状態になり、その結果たるみの原因になってしまうことがあります。皮膚のたるみはマリオネットラインの原因となりますので、常に適正体重を保つようにするのが理想的です。
再生医療で「マリオネットライン」の
改善ができる仕組み
マリオネットラインは、皮膚・皮下脂肪・筋肉の全ての老化によって引き起こされますが、私たちの身体の最も外側である“皮膚”に関しては、肌の再生医療をすることでハリや弾力を蘇らせることができます。
肌の再生医療は、肌のハリの元となる「コラーゲン・ヒアルロン酸・エラスチン」を生み出す“真皮線維芽細胞(しんぴせんいがさいぼう)”を増やす治療です。あなたの体に元々ある細胞を増やして、また戻す。すると、増えた真皮線維芽細胞がコラーゲン・ヒアルロン酸・エラスチンを生み出し、お肌のハリや弾力を蘇らせ、みずみずしく若返らせてくれるのです。
肌の再生医療では皮膚の下にある皮下脂肪・筋肉の老化現象の改善はできませんが、最も外側である皮膚がハリと弾力を取り戻すことで見た目の変化となって表れます。
「マリオネットライン」についてのQ&A
表情筋トレーニングはマリオネットラインの改善に効果がある?
上記の「マリオネットラインが現れるまで」で解説した通り、マリオネットラインができてしまう一番の原因は表情筋・筋膜の衰えです。
表情筋・筋膜を衰えさせないためにも、口の周りの筋肉を鍛えるようなエクササイズ・マッサージなどもたくさんご紹介されています。また表情筋を鍛える道具(paoなど)も販売されています。美顔器などもありますよね。
もちろんご紹介されているようなエクササイズ・マッサージ、美顔器などもマリオネットラインを予防するにはいいと思います。若いのにマリオネットラインができて悩んでいる方は血行が良くなるので効果的かもしれません。
しかし、医学的に見ると表情筋トレーニングは逆効果になってしまうこともあるので注意が必要です。表情筋はその成り立ち(発生学的)からすると、随意筋(骨格筋)よりもむしろ不随意筋(腸を動かす筋肉、など)に近い筋肉です。不随意筋は鍛えることはできません(胃や腸の筋肉は鍛えられない)が、アスリートのように骨格筋は鍛えることが出来ます。現在では表情筋はあまり鍛えることが出来ないというのが医学的見解です。ただし、適度な表情筋による運動は血行を良くするなどの効果がありますが、過度にやり過ぎるとむしろ、新たなしわを作るのでやめた方がいいでしょう。適度なエクササイズ、マッサージを心がけましょう。
マリオネットラインが出来ないような日々のケアはあるの?
肌や表情筋に過度の負担をかけないことが重要です。喫煙や睡眠不足は避け、表情筋の運動も過度に行なわないことをおすすめします。
UVケア
紫外線を浴びると、肌のハリや弾力を維持する役割を持つコレーゲンやエラスチンに影響を与え、シワやたるみができやすくなってしまいます。また、紫外線はマリオネットラインだけでなくお肌全体を老化させてしまう原因のひとつです。
紫外線は、真夏の晴れた日だけでなく、季節を問わず降り注いでいるため、日頃から日焼け止めを使ったり、日傘や帽子・サングラス・手袋などでカバーして、お肌を守ることが重要です。
姿勢や習慣の改善・かみ合わせや歯列矯正
片側の歯でのみモノを噛む習慣のある方は、ほうれい線もマリオットラインも片方だけ強く出るので(噛んでる方の側にしわが強く出ます)止めましょう。また、歯列矯正が引き金になってほうれい線やマリオネットラインが出る場合もありますので、気になる場合は歯科医への相談をおすすめします。
スキンケア
お肌が乾燥すると、弾力も失われ、シワができやすくなってしまいます。とくに口周りは、日常的に動かす上に皮膚が薄く、乾燥しやすい部分です。
スキンケアだけではマリオネットラインの劇的な改善は期待できませんが、お肌の潤いを保ちバリア機能を維持することで、今あるシワを目立ちにくくしたり、シワが増えたり深くなるスピードを抑え、結果的にマリオネットラインの予防にも繋がるといえます。
他の治療法との比較
マリオネットラインの治療には
以上の大きく分けて3種類の治療があります。
まず、人間は60兆個の細胞からできています。老化とは、我々のカラダを構成する細胞そのものの能力の低下(質的低下)、さらに細胞の数の減少(量的低下)のことです。老化の象徴である骨粗鬆症という状態(病気)は、骨を構成する細胞の質の低下、並び細胞量の減少です。骨を構成する細胞(骨細胞)の量的かつ質的な低下により骨の形は変わらなくとも、骨の中がスカスカになります。そして転んだだけでもスカスカの骨ではすぐ骨折してしまいます。お顔の老化現象(老人用顔貌)も例外ではありません。
理想は、皮膚、表情筋(筋膜)、脂肪の3つの要素に対してアプローチするのが良いのですが、なかなかそのような治療方法がないのも現実問題です。以下の治療方法がどこにアプローチするのか?それを理解して治療方法を選んでください。全てにメリットがありますがデメリットもあります。完全無欠の治療方法など無いという事を先ずは肝に銘じてください。
それでは、それぞれのメリットデメリットを説明します。
マリオネットラインの手術的治療
マリオネットラインの手術療法には、皮下に糸を入れる手術や、フェイスリフト手術(SMAS法)と呼ばれるものなどがあります。
フェイスリフト手術(SMAS法)とは、メスで切開し、たるみの原因となっている筋膜(表在性筋膜=SMAS)を縫合し、余分な皮膚を切除して縫合する手術です。マリオネットラインの原因の大部分が脂肪の萎縮、筋膜や筋肉の萎縮であるので、そこに直接アプローチするフェイスリフト手術(SMAS法)が最も効果的な治療方法と言われています。
一方、同じ手術に分類される糸を埋め込む手術(糸を埋め込むフェイスリフトと称していることもあります)では、直接脂肪の下垂や筋肉の萎縮に対応できないので、効果は次に述べるレーザー治療や再生医療と同等と考えてもいいでしょう。
マリオネットラインへのレーザー治療
マリオネットラインとは、まず脂肪が萎縮して下方に落ち、そしてそれを支えきれなくなった表情筋の萎縮により垂れさがってブルドックのようになることが一番の原因ですが、もちろん皮膚のハリの低下により、その溝(ライン)が強調されるのも事実です。
サーマクール、HIFU(ハイフ)、スキンタイトニングなどのレーザー治療を行うことにより一時的な改善は可能ですが、やはり効果はメスを使った手術にはかないません。また、肌の再生医療と比べても効果や持続期間はあまり期待ができないでしょう。
マリオネットラインへのヒアルロン酸、ボトックスなどの注入療法
ボトックスもヒアルロン酸注入もしわの治療法ですが、その作用機序から考えると、あくまで筋肉へのアプローチであるボトックスは皮膚や脂肪のたるみの改善はできないため、ほとんど効果がないと考えています。
ボトックスの他にも、いくつかの注入療法が存在します。
- ・ヒアルロン酸注射
- ・アクアミド注射
- ・脂肪注入(マイクロCRF注入)
- ・ベビーコラーゲン など
上記いずれの注入療法もその作用機序である「膨らませる」ことを考えると、シワの改善はできたとしても、二次的効果として顔が膨れたようになってしまう可能性や、時間の経過で体内に吸収されてしまうことで効果の持続期間に限りのがある場合もあるため、施術を受ける前によく検討しましょう。
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