美容のナレッジ
コラーゲン注射の美容効果と副作用・デメリットについて
コラーゲン注射について
コラーゲンとは
コラーゲンとは、肌の細胞の中に存在しているタンパク質の一種です。体内の細胞と細胞をつなぐ接着剤のような働きをし、肌のハリや弾力を保っています。肌は、「表皮」と「真皮」の2重構造からなっています。厚さ2〜3mmからなる真皮の中で、真皮線維芽細胞はコラーゲンのほか、ヒアルロン酸、エラスチンを作ります。コラーゲンは土台のような役目をしています。肌のコラーゲンは、肌だけでなく、血管や筋肉、骨にもあります。コラーゲンは、肌の質感や弾力を支える大切な要素です。
人の身体の約30%、特に皮膚の真皮層においてはコラーゲンが約70%と大部分を占めるといわれています。肌では、コラーゲンが誕生するのは真皮組織で、真皮の細胞から作られています。年齢を重ねるにつれてコラーゲンを作り出す力が衰え、体内のコラーゲンの総量が低下することで、肌のハリが失われ、シワやたるみの原因となります。
コラーゲン注射とは
極めて細い針を使用し、治療箇所に直接コラーゲンを注入することで皮膚の変形やへこみを修復し、皮膚を平らにしてシワやたるみを目立ちにくくする治療法です。特にコラーゲン注射が有効的なのは、目の周りのちりめんジワや目尻、口角、額や眉間などの表情によるシワの改善です。コラーゲン注射の治療の際には、注入部位、シワの状態や深さ、皮膚の状態や厚さなどを確認しながら最適な注入材を選択する必要があります。
注射ですので施術時間は1部位に対して10分程度で、短時間での施術が可能です。
コラーゲン注射の製剤の種類
現在、美容皮膚科やクリニックなどで治療に使われる注入用コラーゲンの製剤には、種類が豊富です。コラーゲン注射は大きく分けると動物由来(牛、ブタ)とヒト由来のコラーゲンがあり、それぞれに種類と濃度があります。
動物由来のコラーゲン
動物由来のコラーゲンには、ウシ由来のコラーゲンとブタ由来のコラーゲンがあります。
動物由来のコラーゲンは、アレルギーの既往歴に関係なくアレルギー反応(腫れ、皮膚の赤み、かゆみなど)が生じる可能性があるため、注入する前には必ず皮内テストをし、数週間~1ヶ月ほど経過を診てから治療をする必要があります。
ウシ由来コラーゲン(アテロコラーゲン)
現在、治療に使われるウシ由来のコラーゲンは、国内メーカー製造のアテロコラーゲンのみです。アテロコラーゲンはオーストラリア産のウシから製造したコラーゲン製剤で、日本で最初に厚生労働省から認可されたコラーゲンです。承認後、長年に渡り治療に使用され続けています。
アテロコラーゲンには濃度の異なる数種類のコラーゲン製剤があり、皮膚の暑さや部位、症状によって使い分けることができます。
ブタ由来コラーゲン
現在も製造されているブタ由来のコラーゲンとしては、韓国製のTheraFill®があります。
ヒト由来のコラーゲン
動物由来のコラーゲンは必ずアレルギーテストを必要としますが、ヒト由来のコラーゲン製剤はアレルギー反応を起こすことがほぼないといわれているため、事前の皮内テストが不要とされています。
ベビーコラーゲン(Humallagen®)
ベビーコラーゲン(Humallagen®)とは、米国産のヒト由来コラーゲン製剤です。アメリカFDA承認を得ており※1)、ヒトの胎盤から抽出、生成されたコラーゲン製剤です。
ヒアルロン酸注射との違い
「ヒアルロン酸」も「コラーゲン」も、美肌には欠かせない成分ですが、その性質には違いがあります。
コラーゲンは、細胞を囲むように存在している弾力のある繊維状の組織で、お肌のハリや弾力を保ちます。一方ヒアルロン酸は、水分を多く含むことができるため、お肌のみずみずしさを保ちます。
具体的には、ヒアルロン酸注入はお肌にボリュームを出しふっくらとさせますが、皮膚の薄い部分に注入するとデコボコになってしまったり、チンダル現象が生じてしまう場合があります。コラーゲン注入はヒアルロン酸よりなじみやすいため、ボリュームアップには向きませんが、お肌の薄い目元などの繊細な部分への施術に適しています。
また、コラーゲン注射を注入の際には、動物由来製剤の場合アレルギーテストが必須ですが、ヒアルロン酸はアレルギーのリスクが低いとされているため、検査をせずに施術を受けることが可能です。
チンダル現象とは
ヒアルロン酸注射におけるチンダル現象とは、皮膚の薄い部分に注入した場合や多く注入しすぎた場合などに、皮膚の表面に青く透けて見えてしまう現象のことです。チンダル現象はヒアルロン酸が水分を吸ってふくらみ、特に皮膚の薄い目の周りに起きることが多いです。水を貯めやすいヒアルロン酸の性質上、ヒアルロン酸注射ではチンダル減少のリスクはゼロにすることは出来ません。チンダル現象になってしまった場合には、時間が経っても戻ることはなく、そのままにしても直ることはありません。チンダル現象を治すには、ヒアルロニターゼという溶解液を用いて、ヒアルロン酸を溶解することで解消できます。
コラーゲン注射で治療可能な部位と効果
- ・顔全体のシワ・たるみの改善
- ・目の上のくぼみの改善
- ・肌の赤み、乾燥、過敏状態の改善※2)
コラーゲン注射のメリット
- ・効果に即効性がある
- ・ダウンタイムがほとんどない
- ・チンダル現象を起こす心配がない
- ・ヒアルロン酸よりも馴染みやすいため、目元などデリケートな部位にも使用ができる
コラーゲン注射の副作用・リスク・デメリット
コラーゲン注射の副作用やリスク、デメリットには下記があげられます。
- ・効果の持続期間が短い
- ・動物由来のコラーゲン注入の場合、アレルギーテストが必須のため施術を受けるまでに時間がかかる
- ・内出血が出ることがある
- ・針跡が赤く残ったり、施術部位の腫れが出ることがある
- ・塞栓(皮膚壊死、失明、脳梗塞)が起こることがある
- ・感染リスクがある
- ・献血ができなくなる場合がある
コラーゲンは、時間が経てば100%分解・吸収され、治療をする前の状態に戻ります。そのため、肌を再生させるのが主目的ではなく、へこんだ部分を盛り上げると割り切れば高い安全性をもつ治療です。
しかし一般的に、コラーゲン注射は、ヒアルロン酸注射に比べると、アレルギー反応などの副作用を起こす可能性が高いといわれています。動物由来のコラーゲン製剤を使用する場合、必ずアレルギー反応のテストをする必要がありますので、テストを行わないような場合は注意をしましょう。具体的なアレルギー反応としては、患部の痛みのほか、腫れ、かゆみ、硬直、変色、皮膚潰瘍などの症状が出る可能性があります。
「コラーゲンによる治療=肌のハリを戻す治療」と考え、コラーゲン治療をお受けになる方もいるでしょう。しかし、あくまでも自分自身のものではなく、生合成・動物(ウシ・ブタ)由来のコラーゲンであると認識したほうが良いでしょう。
コラーゲン注射の効果の持続期間
注入されたコラーゲンは注入直後から少しずつ体内に吸収されていくため、持続効果は約数ヶ月〜長くても1年程度と言われています。コラーゲン注入の効果を保つには、数ヶ月から半年ごとに再び治療を受けることが推奨されています。
肌を構成するコラーゲンを生成する肌細胞(真皮線維芽細胞)に直接的に働きかけたり、再生させたりする治療ではないとはいえ、「コラーゲン線維がもたらす弾力」がある程度は手軽に達成できます。数ヶ月に1回ずつ行うという煩雑さ、それに伴うコストの高さなどがありますが、日本も含め、その歴史や症例数を考えれば、多くの方がコラーゲン注入の治療を選択するのは納得できます。
「肌の再生医療」とは…?
肌の再生医療は、ご自身の皮膚から細胞を抽出し培養して増えた細胞を、肌の老化の気になる部分に移植することで「若返り効果」「抗老化」が期待できる治療です。
参考
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