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【2023年医師監修】肌のバリア機能を守る乳化クレンジングについて

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メイクをしたことがある方ならば、クレンジングをしたことがないという方は少ないのではないでしょうか。日常的にメイクをしている方の場合、クレンジングは毎日行うとても身近な習慣でしょう。

このページでは、クレンジングの種類と「乳化クレンジング」の特徴、方法を詳しくお伝えします。

北條医師

この先生が監修しました

北條 元治 先生

株式会社セルバンク代表取締役。東海大学医学部客員教授。
信州大学附属病院勤務を経てペンシルベニア大学医学部で培養皮膚を研究。帰国後、東海大学にて同研究と熱傷治療に従事。
2004年、細胞保管や再生医療技術支援を行う株式会社セルバンクを設立。2005年、RDクリニック開設に際し、培養皮膚の特許を供与。
著書に『ビックリするほどiPS細胞がわかる本』・『美肌のために必要なこと』他多数。

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Contents
  1. クレンジングについて
  2. 乳化クレンジングとは
  3. 乳化クレンジングのメリット
  4. 乳化クレンジングのやり方
  5. クレンジングについての肌の専門家の意見

クレンジングについて

クレンジングとは「メイクを落とすこと」もしくは「メイク落としに使用する化粧品」のこと

クレンジングとは、顔や体に施したお化粧・メイクを除去すること、もしくはそれに用いるオイル・ミルク・ジェルなどの化粧品のことを指します。

クレンジングという言葉がこのような意味で使われているのは、実は日本だけです。

英語のクレンジング(cleansing)は“清浄、清潔にする、体を浄化する”といった意味を持っており、メイク落とし(日本で言うクレンジング剤)は英語では「make-up remover」と表現するのが一般的です。

クレンジング剤の種類と特徴

クレンジングに用いる化粧品として市販されているものには、オイルを主成分としたものや、ジェル状のものなど、様々な種類があり、それぞれに特徴があります。

タイプ 洗浄力 肌への負担 特徴
オイル かなり高い 大きい 落ちにくいメイクもしっかり落とせる
ミルク 低い 優しい 優しい使用感
ジェル 中程度 中程度 透明なジェルのさっぱりタイプと、油分を配合した白いジェルの2種類がある
クリーム 低い 優しい 洗浄力は高くないためナチュラルメイク向け。「マッサージにも使える」と表記された商品も多いが、長時間のマッサージや強い摩擦は避けるよう注意
ローション 中程度 中程度 オイルフリーの商品が多く、さっぱりとした使用感。コットンを使用する場合は摩擦ダメージに注意
バーム 高い 大きい 手のひらで溶かして使用
拭き取りシート 高い かなり大きい 手軽だが、摩擦ダメージに注意

クレンジング剤は、メイクの濃さや化粧品の落ちにくさで選ぶのがおすすめ

様々な種類のクレンジング剤が市販されており、どれを選べばいいか迷ってしまう方もいるかもしれません。洗浄力の高いもの、そうではないもの、またお肌への負担が大きいもの、お肌に優しいと謳うものなど、様々な種類があります。

では、数あるクレンジング剤の中から「とにかくお肌に負担の少ない、マイルドな洗浄力のものを選ぶのが良いのか」というと、必ずしもそういうわけではありません。

しっかりとメイクをした日に、洗浄力の低いクレンジング剤を使用してしまうと、一度ではメイク汚れが落としきれなかったり、汚れを落とすためにゴシゴシとお肌を擦って摩擦ダメージを与えてしまうなど、かえって逆効果です。

逆に、メイクをしていない日に洗浄力の強いクレンジング剤を使って一生懸命にクレンジングをする必要はありません。

ただし、オイルなどの洗浄力の強いクレンジング剤を使用する場合でも、このあとで解説する「乳化クレンジング」を実践することで、お肌への負担を少なく、効率的にしっかりとメイク汚れを落とすことができるようになります。

乳化クレンジングとは

乳化とは、水と油のような物質が混ざり合うこと

乳化とは、水と油のように、本来は混ざり合わない物質が均一に混ざり合った状態を指します。

例えば、ボトル入りのオイルドレッシングは、使わずにそのまま置いておくと、油と、酢などの油以外の材料の2つの層に分かれます。使う時にボトルを振って中身を混ぜ合わせますが、この時の混ざった状態が「乳化している」ということです。厳密な意味での乳化ではないので、時間がたつとこの時の混ざった状態はまた分離してしまいます。なので、ここに界面活性剤を用いると二度と分離しない本来の意味での乳化が完成します。

乳化クレンジングとは、オイル入りのクレンジング剤に少量の水分を混ぜ合わせて使用すること

ほぼ全てのクレンジング剤には、油性である化粧品のメイク汚れを落とすために「オイル」と、オイルと水をなじませる「界面活性剤」が配合されています。このクレンジング剤に、前もって少量の水分を追加しよく混ぜ合わせて水分含有量を増やして使用することを、一般的に「乳化クレンジング」と言います。

乳化クレンジングを行うと、あらかじめ洗い流す水が少量含まれることによりメイク汚れが浮き上がりやすくなり、最後に水またはぬるま湯ですすぐ際にも汚れが残りづらく、スムーズに洗い流せるようになります。

オイルを含んだクレンジング剤には、元々、水分や他の成分も含まれていることが多いため、厳密には最初から「乳化」しています。しかし、使用直前にさらに少量の水分をよく混ぜ合わせることでより肌への負担が少なくメイクを落としやすくなるため「乳化クレンジング」が行なわれるようになりました。

メイク用品・化粧品の多くが油性なのはなぜ?

顔を含む皮膚の表面の、最も外側には「皮脂膜(ひしまく)」があり、油分のバリアとなってお肌を守っています。メイク用品・化粧品は皮脂膜で覆われた皮膚表面にしっかりと定着させる必要があるため、そのほとんどが油性です。メイク用品が水性だと、顔の皮膚に使用しても油の膜である皮脂膜に弾かれてしまい、しっかりと定着せず、落ちやすくなってしまうからです。

油性であるメイク用品・化粧品は、水だけではしっかりと落とすことができません。そのため、ほぼ全てのクレンジング剤には油分・オイルが少なからず含まれています。

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乳化クレンジングができないクレンジング剤がある?

乳化クレンジングとは、オイルの含まれたクレンジング剤に少量の水分を混ぜ合わせて使用するクレンジングの方法です。そのため、オイルフリーのクレンジングローションジェルなど元々クレンジング剤に全くオイル(油分)が含まれていない場合や、水と混ぜ合わせることができない拭き取りシートを使用する場合は、乳化クレンジングを行なうことができません

乳化クレンジングのメリット

クレンジング剤を乳化させることで、以下のようなメリットがあります。

  • 肌への負担が減り、バリア機能を守る
  • メイクなどの汚れ落ちがよくなる
  • クレンジングの時間短縮になる

オイルを含んだクレンジング剤に、少量の水またはぬるま湯を混ぜ合わせることで、そのままの状態でクレンジング剤を使用するよりも肌への負担が減り、必要以上に皮脂などを落とすことがなく、バリア機能を守れるようになります。

また、クレンジング剤を乳化させると、実はそのままで使用するよりもメイクなどの汚れ落ちがよくなることが多いです。

オイルなどのクレンジング剤は、メーカーによる商品の説明にも「乾いた手でそのまま使用」と書かれていることも多く、そのままのほうが洗浄力は高そうに思えます。しかし、オイルでメイク汚れを浮き上がらせた後、顔に残ったオイルを洗い流す役割を持つのは「水(ぬるま湯)」です。

水と油はぶつけても混ざりませんので、オイルを塗った肌の表面にお湯を当てても、するっとオイル成分が流れることはありません。お湯を当てて、手で擦り合わせて、顔(肌)の上で乳化させたのち、洗い流しているようなものなのです。

この「乳化」の工程を事前に手のひらで行なっておくことで、ゴシゴシと洗い流す必要がなくなるため肌への負担が減り、メイク落としの時間短縮に繋がることはよく理解ができるでしょう。

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乳化クレンジングのやり方

  • 清潔な手のひらに十分な量のクレンジング剤を取る。
    バームの場合は、手のひらで混ぜ合わせとろっとした液状に変化させる。
  • 少量の水またはぬるま湯を足し、手のひらで混ぜ合わせる。
  • 水分と混ぜ合わせたクレンジング剤を、
    メイクを落としたい部位にやさしくすべらせてメイクと馴染ませる。
  • メイク汚れとクレンジング剤が馴染んだら、水またはぬるま湯でよく洗い流す。

乳化クレンジングの方法は簡単です。

通常のクレンジングを行なう時と同様に、清潔な手のひらに十分な量のクレンジング剤を取ります。クレンジングバームの場合は、乳化を行なう前に手のひらで混ぜ合わせ、とろっとした液状に変化をさせましょう。

次に、少量の水またはぬるま湯を手のひらのクレンジング剤と合わせます。そして、両手で優しく混ぜ合わせます。オイルが多く含まれているクレンジング剤ほど、水と混ぜ合わせると白く濁ることが特徴です。この工程が、乳化クレンジング特有の工程です。

水分と混ぜ合わせることが少し面倒に感じる方もいるかもしれません。しかし、この一工程を加えることで肌への負担が減り、メイクが落ちやすくすすぎもスムーズになり、結果として時短になるため、乳化クレンジングはクレンジングを行う場合には必須であると言っても過言ではないかもしれません。

乳化クレンジングのやり方には諸説あり

乳化クレンジングのやり方には、実は決まったやり方はありません。

例えば、「メーカーの説明通りにクレンジングを行なった後、顔を洗い流す前に、手のひらに水分を取り、顔の上でオイル(クレンジング剤)と水分を混ぜ合わせて乳化する」と言うやり方を紹介している場合もあります。また、「濡れた手でクレンジング剤を取ると先に乳化が始まってしまうため、絶対NG」などという意見もあります。

しかし「乳化前のクレンジング剤(原液)でないとメイク汚れは落ちない」わけではありません。むしろ、顔の上で乳化をさせる(オイルと水分を混ぜる)工程を事前に手のひらで行なうことで、摩擦ダメージが減り、肌への負担が少なくクレンジングができると考えます。

ただし、例えばハロウィーンの仮装や舞台メイクのように極端に濃いメイクは、前もって乳化させたクレンジング剤では落としにくかったり、加える水分の量が多すぎたりすると、普段のメイクでも落としにくいという可能性は考えられます。

その日のメイクによって、または普段のメイクの濃さによって加える水分量を調節するなど、自分に合った乳化クレンジングの方法を探ってみることがおすすめです。

乳化クレンジングの際に加える水分量は数滴ほどでOK

乳化クレンジングの際、加える水分の量はほんの数滴ほどで大丈夫です。数滴加えて混ぜ合わせ、足りないと感じたらまた数滴足すのがおすすめです。

しかし、例えば手に取ったクレンジング剤よりも多い量など、多く水分を加えすぎてしまうと、オイルより水分量が多くなってしまい、メイク汚れが馴染まず落としにくくなってしまう可能性があります。ただし、濡れた手でクレンジング剤を触ってはいけない!など、極端に気にする必要はないでしょう。

肌の専門家が乳化クレンジングを実践検証

クレンジングについての肌の専門家の意見

  • クレンジングでの過度なマッサージ
  • スクラブ入りのクレンジング・洗顔料での洗顔

上の2つのようなクレンジングは、絶対におすすめいたしません。

クレンジング剤を使うことは問題ありませんが、その使い方には注意が必要です。クレンジング剤の使用は肌への負担も大きいです。そのため、例えばクレンジングをしながらマッサージを行なう、お風呂で10分以上などの長時間クレンジングする…などの行為は、お肌にダメージを与える恐れがある危険な行為なので、控えることをおすすめします。

皮膚には「皮脂」や「角質」があります。これらは死んだ細胞のため、触ったり、多少削れたとしても痛みは感じません。角質は、皮膚の表面を覆っている塗装のようなものです。この角質をそぎ落としてしまうと、皮膚を守る「バリア機能」が破壊されてしまい、皮膚が乾燥しやすくなったり、肌トラブルが起きる元凶となってしまいます。

それから、スクラブの入ったクレンジング剤は絶対におすすめいたしません。洗顔料なども同様です。これも、お肌の角質をそぎ落としてしまったり、摩擦ダメージによりお肌を傷つけてしまう可能性があるからです。

クレンジングを使う場合は、必要最低限の時間でサッと落とすことが大切です。そのためにも、乳化クレンジングは大変おすすめです。

クレンジングの基準としては、「あれ、落ちてないかな?」「もう少し落としたいかな」と思う程度でやめておくのがいいでしょう。完全にサッパリとするまで、油分を全て落とし切ってしまうのは禁物です。

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