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自分の肌細胞を増やして若返る!?肌の再生医療について徹底解説【2023年医師監修】

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北條医師

この先生が監修しました

北條 元治 先生

株式会社セルバンク代表取締役。東海大学医学部客員教授。
信州大学附属病院勤務を経てペンシルベニア大学医学部で培養皮膚を研究。帰国後、東海大学にて同研究と熱傷治療に従事。
2004年、細胞保管や再生医療技術支援を行う株式会社セルバンクを設立。2005年、RDクリニック開設に際し、培養皮膚の特許を供与。
著書に『ビックリするほどiPS細胞がわかる本』・『美肌のために必要なこと』他多数。

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Contents
  1. 再生医療ってなに?
  2. 肌の再生医療で得られる効果
  3. 肌の再生医療での治療が可能な部位
  4. 肌の再生医療と他の美容医療との
    違い
  5. 肌の再生医療のリスク・デメリット
  6. 肌の再生医療に必要な細胞培養センター(CPC)とは?
  7. 肌の再生医療についてのまとめ

再生医療ってなに?

再生医療とは、怪我、病気や老化などによって失われた身体の組織や臓器(皮膚、心臓、神経、軟骨、子宮内膜など)を、細胞レベルで再生する医療行為の総称です。

再生医学(さいせいいがく、英: Regenerative medicine)とは、人体の組織が欠損した場合に体が持っている自己修復力を上手く引き出して、その機能を回復させる医学分野である。この分野における医療行為としては再生医療(さいせいいりょう)とも呼ばれる。

出典
再生医学 - Wikipedia

そもそも老化(エイジング)とは

「老化」とは、身体を構成する細胞が経年的に減少してゆくという事実は以前から知られていました。例えば、骨の老化は、骨(を構成する骨細胞)そのものが減少し、骨がスカスカな状態になることです。これは程度の差こそあれ万人に起こる老化現象です。

老化によって腰や膝が痛くなるのも、膝(を構成する軟骨細胞)の軟骨が減少したり、腰骨同士をつなぐ椎間板(を構成する軟骨細胞)が減少することにより、直接、骨同士がぶつかり合うことにより痛みが起こることも知られています。同じように、お肌の老化は肌(を構成する肌細胞…真皮線維芽細胞)そのものが減少することにより引き起こされます。

一言、お肌の老化は肌細胞が減少することにより引き起こされると言われてもピンときません。しかし、実生活でも、肌そのものの減少を容易に観察することが可能です。10代の肌をつまみあげると、肌の厚みを感じることができますが、おじいさんおばあさんの肌をつまみあげると、薄くなってペラペラな状態が実感できます。この状態、ペラペラ感こそ肌細胞そのものが減少している証拠なのです。

肌の再生医療とは

「肌の再生医療」とは、再生医療で、老化して肌細胞が減少し、肌(皮膚)にシワやたるみなどが起こって来たエイジングスキン(老化した皮膚)に肌細胞そのものを補充することで、シワやたるみを根本的に改善させるアンチエイジング治療です。

メスで切開し元の形を変えたり、異物を一切使用せず、患者自身のほんの少しの皮膚片から取り出した肌細胞(真皮線維芽細胞)と血液のみを使うことが大きな特徴で、失敗などのリスクが低く、自然な仕上がりが期待できます。

さらに、肌の再生医療は一時的な対症療法ではありません。老化そのものを根本解決する唯一の根本治療ともいえるアンチエイジング治療です。

肌の再生医療の治療の流れ

あなたの皮膚のほんの
一部を
採取します

細胞を、専用の施設で
10,000倍に
増やします

増やした細胞を、
もう一度お肌に
戻します

増えた細胞がお肌にハリや
うるおいを与え、若返らせます

肌の再生医療で得られる効果

  • お肌そのものが根本から若返る
  • 老化の進行を遅らせることができる

肌の再生医療の治療を行なうことで、ダイレクトに肌の働きそのものを蘇らせ、お肌を若返らせることができます。老化によって減少した肌細胞を補充することで、肌のシワやたるみの改善効果が表れるということです。

また、定期的に肌細胞を補充することで肌細胞の減少を食い止める、すなわち老化の進行を遅らせることもできます。お肌のハリや潤いをもたらす成分(コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸)を生み出すあなたの細胞を元の若い時の状態の数まで補充することができるからです。

肌の再生医療の効果が出る仕組み

肌の老化の根本的な原因は、肌細胞(真皮線維芽細胞)の質の低下や数の減少です。肌細胞は、年齢を重ねるとともに少しずつ質が低下し、数も減少していきます。

肌細胞はお肌のハリや潤い、弾力を保つ成分を生み出す工場です。そのため、肌細胞の劣化や減少は、お肌の老化の直接の原因だといえます。

肌の再生医療を行うことで、何倍にも増えた肌細胞が活発に働くようになり、お肌のハリや弾力が蘇ると、シワやたるみの改善に繋がり、顔や首、手の甲のあらゆるシワやたるみを根本的に改善することができる仕組みです。

老化の仕組みや原因とは?

肌の再生医療の効果の表れ方

肌の再生医療の効果の表れ方は、他の美容医療と比較すると非常に緩やかです。

例えばヒアルロン酸やコラーゲン注入などの注入療法は、お肌のシワや凹みを埋め、目立ちにくくする治療のため、即効性があります。

しかし、肌の再生医療には即効性はありません。肌細胞を移植したらすぐに効果が表れる、というわけではないのです。なぜなら、肌細胞を増やし、お肌本来の力を回復させる治療だからです。

移植した肌細胞が再び働き出し、お肌にハリや潤いを取り戻すまで、個人差はありますが数ヶ月程度の期間が必要です。具体的には、早い人でおよそ1ヶ月後から効果が表れ始め、3ヶ月ほどが経過すると効果を実感できることが多いです。

即効性がない、というとデメリットと感じてしまうかもしれません。しかし逆に考えると、すぐには変化せず徐々に若返っていくため、他人に気付かれにくい治療です。元々のお肌と比較して、違和感や、急に変わったというような変化が起こらないので極めて自然に若返ることができるアンチエイジング治療だといえます。

肌の再生医療の効果の持続期間

肌の再生医療には、効果の持続期間はありません。なぜなら根本治療だからです。

治療後効果が出て(約半年後)から1年たっても、効果が無くなってしまう事は起こりえません。あたかも効果が持続しているという錯覚に陥るでしょう。しかし、不老不死になったわけではありませんので、1年後、効果が持続している言う錯覚に陥っても、1年分は、また確実にお肌は加齢を重ねていきます。この先ずっと老いることがなくなるというわけではありません。例えば、肌の再生医療を受けて、お肌の年齢が5歳ほど若返ったとしましょう。すると、5歳若返ったお肌は、再びそこから歳を重ねていくことになります。

効果に持続期間はありませんが、継続的に若返り続けるためには、効果が表れてからも1〜2年に一度などの間隔で、メンテナンス治療として細胞の移植を行うことがおすすめされています。

肌の再生医療での治療が
可能な部位

肌の再生医療で治療ができるのは、肌の真皮部分のシワやたるみの改善です。具体的には、顔全体のシワやたるみと、首のシワ、手の甲のシワとなります。

また、ニキビ跡のへこみの改善にも一定の効果があるとされています。

肌の再生医療と
他の美容医療との違い

シワやたるみの改善などのアンチエイジングを目的とした美容医療には、様々な治療法が存在しています。例えばヒアルロン酸注入やボトックス注入、フェイスリフト治療であれば糸リフトや切開リフト、またはレーザー治療やハイフ(HIFU)などの超音波治療など、部位や症状にもよりますが、その選択肢は多岐に渡ります。

これらの他の美容医療と「肌の再生医療」との違いは何なのでしょうか。

肌の再生医療だけが持つ、
3つの魅力

自身の細胞と血液だけを使うため、
副作用等のリスクが低い

肌の再生医療は、自身の肌細胞(真皮線維芽細胞)と血液だけを使うアンチエイジング治療です。ヒアルロン酸などの異物を注入したり、メスを入れて形を変えるといったことをしないため、安全性が高いことが大きな魅力です。

また、肌の再生医療の効果は自分の肌本来の働きを取り戻し、肌細胞の持つ力でお肌のハリや弾力を取り戻すことです。すなわち、自分の肌が元々持っていた力以上に若返ったり、別の誰かのようになったりすることがないのです。

思わぬ仕上がりになるなどの失敗や、あからさまにアンチエイジング治療をしたと他人に気づかれる可能性が低い、極めて低リスクで自然な仕上がりが実現できる治療法だといえます。

根本治療である(効果の持続性が高い)

肌の再生医療で得られる効果」でも解説しましたが、肌の再生医療の効果は、増やした肌細胞が加齢とともに再び減少・死滅するまでずっと長続きします。老化現象そのものを根本的に解決できる、唯一と言っていいアンチエイジング治療です。

今の元気な肌細胞(真皮線維芽細胞)を凍結保管し、
将来、好きなときに解凍して移植することができる

肌の再生医療を受ける際に培養した細胞は、専用の施設で半永久的に凍結保管をすることができます。必要になった時に再び取り出し、若い時の元気な細胞を未来の自分のアンチエイジング治療に役立てることが可能なのです。

肌の再生医療の
リスク・デメリット

肌の再生医療のリスク

考えうるリスクとして、内出血や色素沈着のほかに細胞の異常増殖による硬結やしこりの可能性、線維芽細胞移植による自己免疫疾患の悪化の可能性がないとは言い切れません。

ですが、自分自身の細胞を増やして再び皮膚に移植するというシンプルな治療方法ですので、他の美容医療に比べるとほとんどリスクはないと考えても問題ないでしょう。

肌の再生医療のダウンタイム

細胞の移植には注射針を用いるため、以下のような副作用が生じる場合があります。いずれも、通常は数日程度で良くなります。

  • 移植する際の注射による小さな出血
  • 小さな内出血、青あざ
  • 移植部位の腫れ、赤み

※治療遂行に際し、「麻酔薬・注射液・傷薬」の3剤を必要とします。これらの薬剤によるアレルギー等の反応(副作用)が起こる方もごくまれにいらっしゃいます。これらはあくまで一時的な反応に過ぎません。自分自身の線維芽細胞を移植することに副作用は認められておりません。

肌の再生医療のデメリット

1回の治療費用が高額である

肌の再生医療のデメリットとして、1回の治療にかかる費用が比較的高額であることが挙げられます。例えば、ヒアルロン酸注射1回(1部位)と肌の再生医療1回(1部位)を比較すると、ヒアルロン酸注射であれば安価なものは1回(1部位)1万円前後からと、非常に手が届きやすい価格帯です。それに対し、肌の再生医療は1部位の施術にかかる料金がおよそ15万円前後からと、費用感が全く異なります。

この理由は、肌の再生医療で用いる肌細胞(真皮線維芽細胞)の培養には、“CPC(Cell Processing Center)”と呼ばれる特殊な専用施設(細胞培養加工施設)で、専任のスペシャリスト(細胞培養技術者)による徹底した管理下での細胞の培養・凍結保管が不可欠だからです。

肌の再生医療は、一人一人の細胞を扱う、完全オーダーメイド(テーラーメイド)の治療です。安価に入手することができ、同じものを誰にでも使用できるヒアルロン酸などの製剤とは異なり、特殊な施設と専任の技術師による厳格な管理体制が必須となるため、それに見合うコストが必要なのです。

ただし、コストパフォーマンスの面で考えると、肌の再生医療は決してただ高額なだけではありません。安価な美容医療は、時間が経つと体内に吸収されてしまい定期的な治療が必要となったり、理想の仕上がりになるまで何度も回数を重ねるなど、1回の料金は安価でも、結果的に莫大な費用と時間がかかる場合もあります。

肌の再生医療は、一度出た効果が長く続くことが特徴です。また、自分の細胞が元々持っている力で若返りを実現する治療ですので、思わぬ仕上がりになるなど失敗のリスクが極めて少ないです。

効果の感じ方に個人差がある

肌の再生医療の効果の表れ方は、他の美容医療と比較すると非常に緩やかです。これは、整形した感を出したくない・他人に気づかれないような自然な仕上がりを求める方にとっては、大きなメリットです。しかし、大胆な変化を求める方にとっては物足りないと感じる場合があります。

また、肌の再生医療は加齢で減ってしまった肌細胞(真皮線維芽細胞)を補充する治療です。そのため、20〜30代前半などの、まだ肌細胞がたっぷりとある方が肌の再生医療の治療をしても、ほとんど何の変化も感じることができないでしょう。

ただし、若い年齢の細胞を採取・培養し、未来の自分のために凍結保管することが可能です。今は治療の必要がなくとも、今の元気な細胞を保管しておく、ということに関しては非常に大きな価値となります。

症状によっては治療の効果が
期待できない場合もある

肌の再生医療は、肌の真皮部分にある肌細胞(真皮線維芽細胞)の減少によってもたらされる老化現象を改善する治療です。そのため、気になるお悩みの原因が筋肉や脂肪の老化など、肌の真皮以外のところにある場合、期待した効果が出ないという結果になることもあります。

シワやたるみなどの老化現象は、肌表面だけでなく、皮下脂肪や筋肉(表情筋)にも起こります。

肌の再生医療の治療を行うと、最も表面である皮膚のハリと弾力が蘇りふっくらとするため、真皮の老化が進行している方、お悩みの原因が肌細胞の減少だった場合は効果が分かりやすく表れます。しかし、原因の比重が皮下脂肪・筋肉の老化にある場合は、表面である皮膚だけを若返らせても、希望する結果が得られないということになります。

肌の再生医療に必要な
細胞培養センター(CPC)
とは?

肌の再生医療を提供するためには、細胞の培養・保管をするための専門施設である細胞培養センター(CPC)が必要不可欠です。

肌の再生医療を提供している医療機関・クリニックで採取した患者様の皮膚片は、CPCへ迅速に搬入され、コラーゲン・ヒアルロン酸・エラスチンをつくり出す肌細胞「真皮線維芽細胞(しんぴせんいがさいぼう)」を抽出する作業および、培養を行います。

CPCは、24時間稼働の独立空調型無菌施設(バイオクリーンルーム)を備えた細胞培養加工施設です。確かな技術を有する細胞培養技術者が厳格な管理のもと、細胞の培養と保管を行なっております。

細胞培養加工施設(CPC)の紹介

CPCでは細胞を半永久的に
凍結保管することができる

細胞培養センター(CPC)では、液体窒素(約-196℃)を使って、皮膚片から抽出・培養した肌細胞(真皮線維芽細胞)を半永久的に凍結保管することができます。

これは、細胞を-40℃や-80℃のフリーザーで凍結保管する場合と決定的に異なります。
約-196℃という液体窒素の温度で細胞を保管しておくと、生化学反応が無視できる程度の速度にまで低下します。化学反応をおこす水が凍ってしまって動けないため反応が進まない=見かけ上時間が止まっているということです。この温度を維持することさえできれば半永久的に細胞を保管することが可能であると考えられています。

肌の細胞保管

肌の再生医療についてのまとめ

  • 「肌の再生医療」とは、再生医療で肌(皮膚)のシワやたるみ、ニキビ跡の凹みなどの症状の改善を目指すアンチエイジング治療
  • 肌の再生医療は一時的な対症療法ではなく、老化そのものを根本解決する
  • 老化の根本的な原因は、肌細胞(真皮線維芽細胞)の質の低下や数の減少。肌の再生医療で真皮線維芽細胞を培養・移植すると、何倍にも増えた肌細胞が活発に働くようになり、お肌のハリや弾力が蘇る
  • 肌の再生医療には即効性がないが、急に変わったというような変化が起こらないので極めて自然に若返ることができる
  • 肌の再生医療の効果は、増えた肌細胞が加齢とともに再び減少・死滅するまでずっと長続きする
  • 肌の再生医療だけが持つ3つの魅力は、①副作用などのリスクの低さ、②持続性の高さ、③今の肌細胞を凍結保管し、必要な時に解凍して再び移植することができること

肌の再生医療は、ご自身の皮膚から細胞を抽出し培養して増えた細胞を、肌の老化の気になる部分に移植することで「若返り効果」「抗老化」が期待できる治療です。

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