ハイフ(HIFU)は「高密度焦点式超音波治療法」という治療法です。
前立腺がんや子宮筋腫などの病気治療で使われています。
肌の表面には熱を与えずに、皮膚の下にある真皮とSMAS筋膜に熱を与えることができる特徴を美容分野に生かすことに成功したのが米国のウルセラ社でした。
ウルセラ社が2004年に開発したウルセラ(一般的な呼び名:ウルセラ/ulthera/ウルセラシステム/ウルセラリフト/ウルセラピー)は、多くの臨床試験を重ね、2009年にFDA※1)からリフトアップ効果で初めて認可を受けました。
美容のナレッジ
ハイフ(HIFU)は「高密度焦点式超音波治療法」という治療法です。
前立腺がんや子宮筋腫などの病気治療で使われています。
肌の表面には熱を与えずに、皮膚の下にある真皮とSMAS筋膜に熱を与えることができる特徴を美容分野に生かすことに成功したのが米国のウルセラ社でした。
ウルセラ社が2004年に開発したウルセラ(一般的な呼び名:ウルセラ/ulthera/ウルセラシステム/ウルセラリフト/ウルセラピー)は、多くの臨床試験を重ね、2009年にFDA※1)からリフトアップ効果で初めて認可を受けました。
ハイフ…HIFU(High Intensity Focused Ultrasoundの頭文字)とは、「高密度焦点式超音波治療法」のこと。
高密度とはハイパワー、焦点照射式とは周囲にダメージを与えないということです。
つまり、他の組織を傷つけずに、狙った部位にだけ熱エネルギーを届け、ピンポイント治療を可能にしたマシン機器がハイフです。
病気治療の分野では前立腺がん、子宮筋腫、骨転移の疼痛緩和、本態性振戦(原因不明な手や頭の震え)において保険診療で行われており、近年では切除不能の膵がんの治療にも自由診療で用いられています。
このハイフの特徴を活かし、美容分野ではたるみが気になる箇所に照射することで切らずにリフトアップが可能になりました。
顔面は、外側から、表皮、真皮、皮下組織(脂肪)、スマス筋膜(SMAS)、表情筋、の順で層になっており、それぞれの層と骨とをつなげるリガメントという支柱が顔面に点在しています。
スマス筋膜とは、数ある表情筋を覆ってまとめる一枚の膜です。
コラーゲン質の繊維状の筋膜で、皮膚全体を支える土台のような存在です。
顔がたるむ原因は、ひとつではありません。
真皮層のコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の減少により表皮を支える力が弱まることでたるむ。
皮下脂肪の蓄積により重力によってたるむ。
加齢によるコラーゲン密度の減少による筋膜のたるみ。
加齢による筋力の衰えで真皮や表皮を支える力が弱まることによるたるみ。
このように、表皮以外のどの部位においてもたるみは起こります。
ハイフは、上記03の皮膚を支える「スマス筋膜」を熱凝固させて引き締めるたるみ治療です。
加齢によって表情筋が衰え筋肉が痩せると、筋肉を覆っているスマス筋膜にもたるみが生じます。それに連動して、その上に位置する皮下脂肪や真皮層にもたるみが生じます。
今まで、顔の深部に位置するスマス筋膜は、顔の皮膚を切開する手術でしかアプローチできなかったのですが、ハイフの登場によって切らずに深部のたるみの原因であるスマス筋膜へ直接働きかけることができるようになり、切らないリフトアップが実現したのです。
ハイフは、肌深部にあるスマス筋膜のタンパク質の熱変性によって土台部分から肌を引き締める効果があるため、以下のようなお悩みにお勧めです。
また、熱エネルギーが届く距離を調整することで、深部のスマス筋膜だけではなく、その手前の真皮をターゲットにした小ジワや毛穴の開きの改善にも対応できます。
近年ではおでこやこめかみ、まぶたなどの皮膚の薄い部分にも使用できるようなアタッチメントがあるハイフも開発され、表皮の浅いしわへの対応も可能になりました。
ただし、スマス筋膜を熱収縮でリフトアップするには限界があります。
なぜなら、顔のたるみはスマス筋膜のゆるみだけが原因ではないからです。
ハイフで最もリフトアップ効果が実感できるのは、比較的早い段階で顔のたるみが気になり出した方(30代)でしょう。
顔がたるむ原因01~04の全てが当てはまる可能性が高い50代後半以降の方は、個人差もありますがあまり効果を感じられない場合もあります。
その場合は他の施術との組み合わせてハイフ治療を行うことで、リフトアップが可能になります。
子供の頃、紙の上で虫メガネを使って太陽光を1点に集約させ、その1点だけ紙を焼け焦げさせる実験をした経験はありませんか?これと同じようなことがハイフによってスマス筋膜に起ります。
さらに上記の現象に加え、熱刺激を受けた組織は「ケガだ!!」と認識し、創傷治癒の過程により新しいコラーゲンを活発に生成します。この二つの作用により「肌の弾力が改善されリフトアップする」という仕組みを利用した機器が、ハイフというわけです。
数あるハイフですが、照射後のリフトアップの過程はほぼ同じです。
なぜなら、機械が進化しても、人体におよぼす影響は変わらないからです。
ハイフの効果と持続時間は、ハイフのパワーに比例します。
普通のパワー | 強力なパワー | |
---|---|---|
直後~1週間後 | 普通のパワーリフトアップ効果を実感 | リフトアップ効果を実感 |
1ヶ月後 | 日増しにリフトアップを感じる | 目に見えてしっかりリフトアップする |
3ヶ月後 | 最もリフトアップ効果を実感できる | 普通のパワーよりもリフトアップ効果を実感できる |
半年後 | ピーク時に比べて少し戻りを感じる | ピーク時に比べると少し戻りを感じるが普通のパワーよりもリフトアップは持続 |
1年後 | 施術前よりは良いが、元の状態に戻りつつある | 施術前よりは良いが、元の状態に戻りつつある |
半年くらいでピークの時と比べると少し戻りを感じるようになることが多く、半年経過時点で二度目の照射をするとリフトアップ状態を維持できるようになります。
ハイフの施術を受けると、副作用として以下のような症状が出ることがあります。
この症状が落ち着くまで、個人差がありますがおよそ1週間前後かかるようです。1ヶ月を経過しても症状が残っている場合は施術を受けた医療機関に相談しましょう。
ハイフは例えるならば“医者でないと使えない美顔器”です。
従来の治療の概念は「形態的・機能的に異常になったものを正常の状態・形態に戻す」「解剖学的に正常な位置に戻す」「もしくは生理学的な正常な状態に戻す」ですが、美容医療の概念は「正常なものを正常なものに作り直す」ということなので、従来の治療の概念とは異なります。
顔面に出来てしまった癌の陥没の痕を修復するのは、治療か美容医療か曖昧なところがありますが、この場合は「異常になったものを正常に戻す」ということですので、『治療』になります。
一重瞼を二重瞼にする手術は「正常なものを正常なものに作り変える」ので『美容医療』になります。
ハイフによる施術は後者の美容医療なので、プラスの効果が感じられなければ施術する意味を感じられないでしょう。それを踏まえた上で、利点と欠点を判断することが重要です。
ハイフが向かない人の特徴は、元々シワやたるみのない人です。シワやたるみの改善に効果があるハイフはその症状がない人には向いていません。そのため20代以下の若年層よりも30代以上の世代に適した施術といえるでしょう。
20代前半の若年層はシワやたるみが発生していない状態が大多数です。改善する症状がない箇所に施術をしてもリフトアップ効果等は実感できません。ベネフィット(利益)よりもリスク(副作用)が上回る可能性が高いので、20代前半の若年層はハイフの施術に向いていないでしょう。
30代以上の世代の方でも、シワやたるみが気にならなければ20代前半の若年層同様、ハイフ向きではありません。その理由は上記と同様でベネフィット(利益)よりもリスク(副作用)が上回る可能性が高いからです。
医療用ハイフの照射方式は点状方式、エステサロンハイフの照射方式は蓄熱方式です。医療用ハイフもエステサロンハイフも痛みはほとんどありません。しかし医療用ハイフのほうが出力が高いため効果が高く持続期間が長いので施術回数が3ヶ月~6ヶ月に1回で済みます。一方、出力が弱いエステサロンハイフは持続期間が短いので施術回数が1ヶ月に1~2回程必要です。
出力が高いので皮膚の深部までエネルギーが届くため、引き締め効果が高くリストアップ効果が望める。
出力が弱いので皮膚の浅い層までしか熱エネルギーが届かないため、優れた効果は期待できない可能性が高い。
医療機関とエステサロンで行うハイフには、効果、安全性、価格等において差があります。医療用ハイフは、医療行為が出来ない施設では導入することができません。そのためエステサロンで使用しているハイフは、非医療用の出力が弱めの機器です。まずは医療機関で使用されているハイフについてご紹介していきましょう。
医療機関で治療目的ではなく、美容分野で使用するハイフは医療用と非医療用に分けられます。効果を実感してもらうためには、やはり医療用のハイフのほうが良いでしょう。医療機関で美容分野に使用されるハイフはさまざまな種類があります。
先駆けである「ウルセラ」を真似た機器をさまざまなメーカーが製造しており、名称も特長も異なりバリエーション豊かです。
現在日本で多く使用されている、代表的な医療用ハイフ機器とその特徴をまとめました。
HIFU機器名称 |
ウルセラ (ウルセラシステム) (2009年) |
ウルトラセル (2012年) |
ダブロ (2013年) |
UTIMS (ユーティムス) ※A1~A3までの バージョンあり (2014~2018年) |
---|---|---|---|---|
製造国 | 米国ウルセラ社 | 韓国 | 韓国 | 韓国 |
トランスデューサー (超音波の到達深度の 調整ユニット) |
1.5mm(真皮層) 3.0mm(脂肪層) 4.5mm(SMAS筋膜) |
1.5mm(真皮層) 3.0mm(脂肪層) 4.5mm(SMAS筋膜) GFR(高周波RF) SPR(高周波をノンニードルタイプの電極を用いて照射) FRM(49本の極細針の先端から高周波RFを流す) |
1.5mm(真皮層) 3.0mm(脂肪層) 4.5mm(SMAS筋膜) |
1.5mm(真皮層) 3.0mm(脂肪層) 4.5mm(SMAS筋膜) |
パワー |
超強力 |
中~強力 |
強力 |
中~強力 |
痛み |
強い |
少ない |
少ない |
少ない |
効果 |
高い |
中~高 |
中~高 |
中~高 |
効果の持続期間 |
半年~1年 ※超強力で1年程度 |
半年 |
数ヶ月~半年 |
数ヶ月~半年 |
ダウンタイム |
違和感や赤みが数日間続くことがある |
ほぼなし |
ほぼなし |
軽度の赤みや腫れ |
価格帯(フェイスライン) |
約10~30万円 |
約8~15万円 |
約5~15万円 |
約6~15万円 |
特徴 |
|
|
|
HIFU機器名称 |
ベロHIFU (VELO-HIFU) (2015年) |
コントレックス |
コントレックス ダブロゴールド (2017年) |
ウルトラセルQ+ (2018年) |
タイタン |
---|---|---|---|---|---|
製造国 | 韓国 | 韓国 | 韓国 | 韓国 | アメリカ |
トランスデューサー (超音波の到達深度の 調整ユニット) |
インモーション式により機関銃のように点で超音波を出し続けることでプローブを固定せず動かし続けて照射 |
周波数/焦点距離(深度) 7MHz/1.5mm 7MHz/3.0mm 4MHz/4.5mm 7MHz/4.5mm 4.5mmを2種類の周波数によって強度を調節 |
1.5mm(真皮層) 3.0mm(脂肪層) 4.5mm(SMAS筋膜) |
1.5mm(真皮層) 3.0mm(脂肪層) 4.5mm(SMAS筋膜) リニアカートリッジによる4.5mm(脂肪融解)、2mm(二重顎) |
1.5mm(真皮層:目周りなど浅い部分の引き締め) 3.0mm(脂肪層:コラーゲンの増生を促し、ハリ・弾力アップ) 4.5mm(SMAS層) |
パワー | 弱い |
中~強力 |
中~強力 |
中~強力 |
中~強力 |
痛み | ほぼない |
少ない |
少ない |
少ない |
ほぼない |
効果 | 低め(何度も行う必要あり) |
中~高 |
中~高 |
中~高 |
中~高 |
効果の持続期間 |
3回以上の継続施術で1~3ヶ月 |
数ヶ月~半年 |
数ヶ月~半年 |
数ヶ月~半年 |
1か月~半年 |
ダウンタイム |
なし |
軽度の赤み |
ほぼなし |
軽度の赤みや腫れ・筋肉痛のような痛み |
ほぼなし |
価格帯(フェイスライン) |
約2~3万円 |
約10~25万円 |
約7~20万円 |
約9~15万円 |
約2~3万円 |
特徴 |
|
|
KFDA認可
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|
|
初代のハイフ機器「ウルセラ」(ウルセラシステム)は、リフトアップ効果についてアメリカFDA※1)に認可され、安全性と効果に信頼があります。おそらく一番高い効果を目指すことができる最高峰機器ですが、その分パワーもとても強く、パワーが強過ぎることで顔面神経を傷つけるなどの合併症を起こす可能性も否定できません。そのため、超音波画像診断機能(エコー画像)を搭載し、治療する深さを目で確認しながら医師のみが施術できる機器です。ウルセラ社独自の認定医制度による認定を受けた医師の施術を推奨するなど、安全面に配慮されています。
ウルセラ開発以降、ウルセラを真似てつくられた、主に韓国製の数々の医療用ハイフ機器が出現しました。
薬で例えるとジェネリックのような存在です。
初代ウルセラのマイナス面を補う新しい機能を搭載した機器が多く、年々進化しています。
確認できる医療用ハイフ機器だけでもこれだけあります。
それぞれ特徴がありますが、どれも日本国内で認可されているものではなく、医師が個人輸入という形で取り入れている自由診療になります。よって、1台の機器で脂肪溶解や肌の表層部への対応など、多様な用途で使用できるメリットは医師の方にあると言っていいでしょう。何台も機器を購入しなくても様々な施術が可能になるのですから。
なお施術費用がかけ離れて安い場合は中古機器を使っていたり、医師以外の施術ということもあるようです。
ハイフ治療は、手軽さとその効果の高さから人気の治療です。
また解剖学の知識を持つ医師が的確に照射すると、効果に10〜20%くらいの差が出るとも言われています。
ハイフ治療を受ける際は、ハイフの特徴であるリフトアップが最大限活かせるよう使用しているハイフ機器の特徴を把握し、クリニック選びは慎重に行いましょう。
そもそもハイフは医療行為です。
そのため、施術を行えるのは医療機関のみとされています。
ところが、実際にエステサロンでもハイフと銘打った小顔ケアが行われています。
医療機関だけに製品を販売することに限界を感じたハイフを製造する機器メーカーは、出力を落としたエステ仕様のハイフ美容機器を作り、価格を抑えて数多くあるエステサロンに販売し始めたのです。
ハイフは皮膚の深層へ火傷を負わせる機械です。
エステサロンには医師がいないため、何か問題が起こった場合に処置を行うことができません。そのためエステサロンのハイフ機器は、医療従事者が扱える出力を出すことはできません。
それにも関わらず、エステサロンでハイフの施術を受けることは火傷や顔面神経の損傷、一時的な麻痺を起こしてしまうなどの危険性があります。それは施術者が解剖学に基づいた知見を持たないからです。
現に2017年には国民生活センターより「エステサロン等でのハイフ機器による施術でトラブル発生!-熱傷や神経損傷を生じた事例も-※4)」という内容の報告書が公表されています。
もちろん、副反応が起こるリスクは医療機関で行った場合にもありますが、医療機関で使用されているハイフの多くは安全性が確立されています。
エステサロンで使用されている機器に安全性について不明瞭なものがあることは事実なのです。
このことから、
といった内容が、消費者へのアドバイスとして報告書に挙げられています。
また、エステサロンのハイフは出力パワーの低さから、当然その効果も低く、本来のハイフに期待する効果を得るためには回数を重ねる必要があります。
エステサロンでも扱える非医療用ハイフには、以下のような種類があります。
ダブロなど医療用ハイフと同名の機器も存在しますが、出力は医療用ハイフと比べると低いので混同しないようにしましょう。
ここまでで医療機関とエステサロンにおいて、ハイフのそれぞれの違いをご紹介してきました。
実際にハイフの施術を受けようと思った時に大切なことは、きちんと情報収集をし、検討するということです。
医療機関とエステサロンでのハイフ治療は、リスクやコスパを比較してみると良いでしょう。
切らずにリフトアップできる治療の代表であるハイフとサーマクール。
その共通点、効果の違い、たるみに最も効果的なのはどれか、価格の違い、コストパフォーマンス、ダウンタイムや痛みの違いなどを比較してみました。
ハイフもサーマクールも、切らずに手軽にリフトアップを可能にするとても魅力的な治療です。
ただ、忘れてはならないのは、その仕組みとして「火傷によるタンパク質の収縮」と、その「火傷を治す過程での細胞の活性化」を利用しています。
効果を持続させるために継続して治療を繰り返すことは、つまり、意図的に怪我を負わせて治す、ということを何度も繰り返すことと同じです。どちらも即効性はありますが、長期的にはかえって肌への負担になっている可能性が高いことも含めて、ご自身に合ったより良いリフトアップ方法を選択していくことをお勧めします。
「肌の再生医療」とは…?
肌の再生医療は、ご自身の皮膚から細胞を抽出し培養して増えた細胞を、肌の老化の気になる部分に移植することで「若返り効果」「抗老化」が期待できる治療です。
参考
※1) FDA(Food and Drug Administration,米国食品医薬品局):日本の厚生労働省にあたるアメリカの行政機関
※2)欧州CE:EUの法律で定められた安全性能基準を満たすと認められた製品につけるマーク
※3)KFDA(Korea Food and Drug Administration,韓国食品医薬品安全庁):食品・医薬品・医療機器・化粧品などの健康と安全に係わる製品に対し、規格の制定、韓国国内で流通する商品に対する許認等を行う機関。KFDAは2013年、MFDS(Ministry of Food and Drug Safety、食品医薬品安全処)へと名称変更されました。
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