お肌がビリビリと破れたかのような、線状の跡が残ってしまう、肉割れ線。肉割れ線は、日本人女性の80%以上にあると言われており、たとえ目立たない場所にあっても、気になるという方は多いでしょう。
肉割れ線とは、一体どういうものなのでしょうか?また、一度できてしまった肉割れ線を、改善させる方法はあるのでしょうか。この記事では肉割れ線について徹底的に解説します。
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お肌がビリビリと破れたかのような、線状の跡が残ってしまう、肉割れ線。肉割れ線は、日本人女性の80%以上にあると言われており、たとえ目立たない場所にあっても、気になるという方は多いでしょう。
肉割れ線とは、一体どういうものなのでしょうか?また、一度できてしまった肉割れ線を、改善させる方法はあるのでしょうか。この記事では肉割れ線について徹底的に解説します。
皮膚に生じる、まるでひび割れしたかのような蛇行した線のことを「肉割れ線」といいます。医学的には「皮膚伸展線条」、もしくは「線状皮膚萎縮症」といいます。
その見た目から「肉割れ線」と呼ばれており、海外では「ストレッチマーク(stretch marks)」と呼ばれています。また、妊娠による体形の変化でできる肉割れ線のことは「妊娠線」とも言います。
肉割れ線は、皮膚の急激な成長とともに起こる、言わば自然な現象です。
肉割れ線の幅は数mm、長さは数cm~十数cmほどで、肌がひび割れたように陥没したり、しわができます。肉割れ線のできやすさには個人差があり、肉割れ線ができる際には痛みやかゆみを伴うこともあります。
肉割れ線は、体型の変化が起こりやすく、皮膚が乾燥しやすい体の部位にできやすいといえます。具体的には、以下のような箇所です。
ただし、上記の部位以外にもできる可能性はあります。
皮膚が何らかの原因によって急激に引き伸ばされすぎると、真皮層のコラーゲンやエラスチンなどの線維が裂け、真皮にひび割れが生じます。この真皮での断裂が、肌の表面である表皮の上からわかるようになってしまった状態が「肉割れ線」です。
人間の皮膚は、“表皮”と“真皮”、その下の皮下組織で構成されています。
皮膚の一番外側である“表皮”には、水分を保持する角質層などがあり、伸縮性に富んでいて、多少の力が働いても壊れることはありません。
しかし一方で、表皮の下にある“真皮”は、横方向の力に対する伸縮性には乏しく、皮膚が急激に引き伸ばされると、ひび割れが生じてしまいます。真皮層は主にコラーゲンやエラスチンなどの線維によって構成され、表皮を支えて肌の弾力性を保っています。コラーゲンには弾力性はありますが、横方向に急激に伸びることはできず、急激な力が加わると裂けてしまうのです。
この真皮層のひび割れが「肉割れ線」の正体です。
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肉割れ線は、皮膚が横方向に急激に引き伸ばされ、真皮層が裂けるとできてしまうということがわかりました。では、具体的にはどのようなことが要因となるのでしょうか。
肉割れ線ができる主な原因として考えられるのは、以下の5つです。
男女を問わず、思春期には急激に体が成長するため、肉割れ線が表れやすくなる時期といえます。成長期の体の発達によってできる肉割れ線は、身長が伸びる際などに急に発達することがある、主に以下の部分にできやすいと言われています。
妊娠したことでできた肉割れ線は「妊娠線」とも言います。妊娠時の肉割れは90%以上の妊婦さんが経験するそうで、妊娠6ヶ月頃から下腹部や乳房、お尻にできやすくなります。
胎児の成長に伴いお腹が大きくなると、それに合わせて皮膚の表面も伸びていきます。しかし、その下にある真皮層のコラーゲンと皮下組織は伸びにくいため、表面の伸びに追いつけず裂けてしまうことがあります。これが妊娠線ができてしまう仕組みです。
また、妊娠によってステロイドホルモンが増加することも、妊娠線ができる原因のひとつと言われています。ステロイドホルモンはコラーゲンの生成や真皮のターンオーバーを抑制する働きがあるため、肌に弾力がなくなり、断裂が起こりやすくなります。
肉割れ線ができる理由として多いものが、急激な体重増加による体形の変化です。
太っていく体に皮膚が引っ張られて、真皮層が耐えられずに肉割れ線ができてしまいます。肉割れ線は柔軟性のない部位の皮膚にできやすく、脂肪の多いお腹やおしり、太もも、膝裏などに現れることが多いようです。
筋トレに伴う筋肉量の増加によって肉割れ線ができることもあります。
基本的に、肉割れ線は脂肪の多い部位にできやすいものですが、大きな筋肉があるところでは筋肉の増大によって皮膚が引っ張られることもあります。脂肪も筋肉もつきやすい部位では、特に肉割れ線ができるリスクが高いと言えるでしょう。
具体的には、以下の部位が筋トレによって肉割れ線ができやすいと言えます。
真皮線維芽細胞は、皮膚の“真皮”にあるお肌のハリや弾力を保つ成分、コラーゲン・ヒアルロン酸・エラスチンを生み出す、働き者の細胞です。
加齢や紫外線・乾燥などのダメージによって真皮線維芽細胞が減少すると、肌の弾力を保つ成分の生成量も減ってしまいます。コラーゲン・ヒアルロン酸・エラスチンなどの成分が減少すると、通常では肉割れ線にならない程度の体型の変化でも、真皮の繊維が裂けて肉割れ線ができてしまうこともあるようです。
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肉割れ線は、できてから時間の経過とともに、色や形状などの見た目に変化があります。初期~中期、後期の違いを見ていきましょう。
※画像はイメージです。
最初の段階では、細かい線が肌に表れる程度で、その線は平らです。
線の色は、亀裂の入った皮膚の下にある毛細血管が透けて見えるため、ピンク(赤色)や赤紫色であることが多いです。
時間の経過とともに、肉割れ線のある部位の皮膚がわずかに凹み、亀裂のようなひび割れが見えるようになります。線の色は赤みを帯びており、この段階で、ひび割れた部分にかゆみを感じる場合もあります。
赤味を帯びた肉割れ線ができてからさらに時間がたつと退色し、やがて灰白色になります。白っぽくなったことで、初期や中期と比べると少し目立たなくなるものの、割れ目はわずかに窪んだ溝となり、触るとデコボコとした状態となります。
時間が経過した肉割れは一般的に、元々の皮膚の色よりも明るめになることが多いです。
肉割れ線は一度できてしまうと、時間の経過とともに色味は目立たなくなりますが、残念ながら自然に消えることはありません。
そのため、まずは
肉割れ線の正体は、皮膚の真皮層にあるコラーゲンやエラスチンなどの線維の断裂です。真皮層の線維が裂けないよう、以下のことを心がけるとよいでしょう。
できる限り、急激な体型の変化を起こさないように気をつけましょう。特に体重増加には注意が必要です。多くの場合、肉割れ線は急激に太ったときにできると言われています。太るスピードに皮膚の成長が追い付かないためです。
適度な運動、高たんぱく、高繊維質、低脂肪の食事を心がけることは体重の増加防止につながります。皮膚の成長や新陳代謝を促すタンパク質は、肌に弾力を与えるコラーゲンの元になりますので積極的に摂取するのも良いでしょう。
また、毎日体をチェックすることで変化に気づくことも大切です。特に脂肪のつきやすいお腹周り、お尻、太ももの変化には気を付けておくとよいでしょう。
皮膚が乾燥していると柔軟性が低くなり、伸びにくいため、肉割れ線ができてしまいやすくなります。そのため、クリームやオイルなどでしっかりと保湿をすることがおすすめです。気持ちが良い程度のマッサージなどで、血液循環を良くすることも良いかもしれません。
市販の肉割れ線対策用クリームなどを用いたところで、一度できてしまった肉割れ線を完全に消すことは、残念ながら不可能だと言われています。
肉割れ線を解消するためには、皮膚科などの専門医に相談し、治療をするという選択肢もあります。
サーマクールやフラクショナルレーザー(フラクセル)などで肉割れ線を治療できると言われています。
ただし、これらのレーザー治療の効果の表れ方には個人差が大きく、費用も高額になりがちです。医療機関によって異なりますが、1回のレーザー照射で数万円以上かかることも多く、一般的には5回程度の治療が必要となります。経済的負担があり、治療後は赤みや腫れが出るなどのリスクもありますので、事前のカウンセリングでしっかりと相談しましょう。
サーマクールは、レーザーの何倍もの強さをもつラジオ波(高周波)の熱エネルギーによって、真皮でコラーゲンを産生させることにより、傷跡の凹みを改善することができると言われています。 腹部にサーマクールのラジオ波を照射すると、タンパク質の熱収縮により皮膚が引き締まります。また、ダメージを負った真皮が創傷治癒によりゆっくりと時間をかけてコラーゲンを再生するため、治療が難しいといわれてきた妊娠線も薄くして引き締めることが可能だと言われています。
フラクショナルレーザー(フラクセル)は、非常に細いレーザービーム(0.06~1.0mm)をドット状に無数に皮膚に照射して、その熱の影響により皮膚に微細な傷をつくります。この穴が治癒する過程を利用して真皮の線維芽細胞を活性化させ、コラーゲンの生成を促し肉割れ線の改善に効果が期待できると言われています。
肉割れ部位に極細の針を刺し炭酸ガスを注入する方法です。
薬剤などを使用しないため、比較的安全性が高い治療方法だと言われていますが、針を刺してガスを注入する際に痛みを感じることが多く、治癒する過程で少し腫れてしまうこともあるようです。
炭酸ガス(炭酸メソ)治療は1930年代に動脈硬化などの血管障害の治療法として使用され、成果をあげています。その後、美容医療分野でも応用され、部分痩せや妊娠線、シワの改善、傷痕の治療法として活躍しています。もともとフランスで妊娠線解消の治療として行われた方法で、海外では10年以上の治療実績があり、効果が高く副作用もほとんど見受けられない治療法だと言われています。
通常、体内の酸素は赤血球内のヘモグロビンと結合して血液中を運ばれています。炭酸ガスを肉割れ部位に注入することにより、血液中の二酸化炭素濃度が上昇すると、酸素と結合していたヘモグロビンが酸素を解離するという現象が起こります。それによって、赤血球から放出される酸素量が増え、酸素が集まることで、炭酸ガス注入部位の新陳代謝が活性化します。局所的(痩せたい部分)な有酸素運動を行っているのと同じ状態になり、代謝が促進されます。また、炭酸ガスの注入により毛細血管が拡張し血流量が増加し、さらに血管新生が起こり、皮膚の再生を促します。同時に血管周囲の細胞が活性化するので、真皮の線維芽細胞も刺激され、コラーゲン生成が活発化、さらには炭酸ガス注入の圧力で真皮層の剥離が起こり、化学的な反応によりコラーゲンのターンオーバーが活性化されるため、肉割れ線だけではなく傷痕などへも有用だと言われています。
ダーマペンとは、ニキビやニキビ跡の凹みの治療に使う医療機器で、アメリカのFDA(日本の厚生労働省にあたる機関)から承認を得ている製品です。
ダーマペンで行なう治療は、極めて細い針で顔などの皮膚の表面に無数の穴を開け、お肌の凹凸(クレーター)を目立たなくさせたり、傷を直そうとする創傷治癒効果によってお肌の回復力を向上させることを目的としたマイクロニードル治療の一種です。
マイクロニードル治療による肉割れ線の治療の効果は比較的多くの症例で見ることができます。しかし、治療の際の痛みが塗る麻酔だけでは緩和しきれない場合があることや、1度の治療で改善することはほとんどなく、回数を重ねて治療を行う必要があるため、事前のカウンセリングで疑問点や不安に思う点を納得が行くまで確認することをお勧めします。
肉割れ線は、成長の著しい思春期の早い段階でできることも多く、妊娠などで体型のコントロールができない場合もあるため、なかなか予防は難しいものです。
どれだけ予防をしていても、残念ながら肉割れ線ができることはあります。もしできてしまった時は、これ以上新しい肉割れ線ができないようセルフケアにて予防し、既にできてしまった肉割れ線は専門医に任せることもひとつの手です。
「肌の再生医療」とは…?
肌の再生医療は、ご自身の皮膚から細胞を抽出し培養して増えた細胞を、肌の老化の気になる部分に移植することで「若返り効果」「抗老化」が期待できる治療です。
参考
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