変形性膝関節症に対する再生医療

再生医療とは

再生医療を一言で言うと、「ダメになった組織や臓器を修復する治療法」です。
例えば、自分の身体から「幹細胞」という特殊な細胞を取り出して増やし、目的とする組織や臓器などにしてから、もとの身体に移植する方法や、最近では、身体の臓器を作るどんな細胞にもなることができるiPS細胞を使った再生医療にも注目が集まっています。再生医療の進歩により、将来的には自分の細胞で臓器を作り、だめになった臓器と取り換えることもできるようになるなど、再生医療は根本治療として大変優れた治療法です。

保田医師

この先生が監修しました

保田 真吾 先生

膝の痛み専門 大阪梅田セルクリニック 院長。京都大学医学博士。

変形性膝関節症の症例を数多く経験。
「和顔愛語 先意承問」の精神で、丁寧な診察を心がけている。

膝の痛み専門 大阪梅田セルクリニック

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Contents
  1. 再生医療:膝の治療に新たな選択肢を
  2. すり減った軟骨が修復する
  3. 効果について
  4. PRPと幹細胞の違い
  5. 再生医療で様々な症例を治療可能

再生医療:膝の治療に新たな選択肢を

これまで、変形性膝関節症に対する治療は、理学療法や薬物療法などによる自身の膝関節を保存したまま痛みなどの症状の緩和や進行を遅らせる方法と、人工関節へ置き換える外科手術による治療がメインでした。しかし、2014年に再生医療に対する法整備が進んだこともあり、再生医療はより身近なものになっています。変形性膝関節症への再生医療による治療も新しい選択肢となりました。

膝の治療は、実は思ったほど沢山の種類はありません。最初の段階では、リハビリをしたり、湿布を貼ったりロキソニンを飲んだりします。そういう対症療法が、まず最初の段階です。またヒアルロン酸の注射も、一つの候補に上がります。

ただ、そのような対症療法をして良くならなかったら、次の治療の選択肢がないというのが現状の医療であり、次の選択肢はもう手術になってしまいます。その前の選択肢としてあるのが、再生医療です。再生医療はそういう手術と普通の対処療法の中間を埋める治療で、これからどんどん伸びていく治療です。

すり減った軟骨が修復する

再生医療を治療を行うことで、軟骨が修復されていきます。修復で出てきた軟骨は、元々ある軟骨とまったく同じではなく、軟骨に代わるものが出来てきます。全体的に平均的に摩耗しているケースもありますが、全体的に軟骨の厚みが戻ってくるというよりは、局所的にすり減っている軟骨が少しずつ盛り上がってくるような修復のイメージになります。

効果について

初期であるほど高い効果を期待

再生医療の統計によると、初期の方でしたら、再生医療の治療でほとんどの方が充分な効果を実感されます。国際的な基準で、効果判定と判定される方が8割以上。8割からうまくいけば10割近い方が、再生医療の治療で良くなったというような判定をされます。中期ぐらいで64%、末期が46%とかいう数字が出ています。これらの数字は論文によるのですが、初期であるほどよく効きますので、早めの治療が重要です。

数週間~数カ月で効果を実感

平均的に1ヶ月から3ヶ月の間で効果を実感される方が多いです。治療をしてから大体早い方で1ヶ月で効果を実感出来ます。そして、ゆっくりした方で3ヶ月から半年で実感できる、というのが目安です。ただ効果を実感するまでにどの位かかるか、個人差があります。炎症で痛かった方が1週間でよくなったという人もいますので、非常に早い方は1週間で効果を実感されることもあります。

再生医療の効果の持続期間

再生医療はまだ歴史がそれほど長くありませんので、効果の持続期間というのは、まだエビデンスが十分に揃っていないのが現状です。膝をどれだけ大切にできるかによります。膝を大事にする生活を続けていれば、ずっと痛みがないという方もたくさんいます。

PRPと幹細胞の違い

現在膝の再生医療と呼ばれるものに、PRPと幹細胞(脂肪由来幹細胞)があります。PRPと幹細胞の治療の違いはどういうものでしょうか。どちらも以下の効果があります。

  • ・炎症を抑える
  • ・組織を修復する

血小板と幹細胞

PRPは自身の血小板を濃縮したものを治療に用います。

幹細胞は、体の中にある細胞を増やしたものを用いて行う治療です。ですので、治療に使っている細胞が「血小板」と「幹細胞」と細胞が違います。ただ、血小板も幹細胞も人の体の「もともと治る」というメカニズムを担当している、という共通点もあります。

血小板は怪我をしたときに血を止めたり修復部位に周りから細胞を呼び寄せたりして、「修復のスタート」を担当すると言われています。血小板の指令を受けて、実際に怪我の修復を担当するのが幹細胞です。

効果の違いを一言で言えば、「修復力の強さ」に違いがあります。

PRPも幹細胞も、投与したら細胞が増殖して、組織が新しく作られてきます。そして、軟骨に変わるような組織が出来てきて、結果的に膝が滑らかに動くという流れになります。

幹細胞の場合は、PRPよりも修復力が強いです。軟骨がすり減ったところに細胞がくっついて、組織を再生していく、というイメージです。

再生医療は歴史がまだ浅いため、比較研究のエビデンスはまだ多くはありません。ですが、細胞の担当の違いがあるため、修復力や治療効果の違いも結果として出ることになります。

副作用・リスクが極めて低い

再生医療は非常に安全な治療です。体には負担の少ない治療で、リスクはあまりないと言っても過言ではありません。

一番よくあるリスクとしては反応痛と言い、膝に注射した後、数日間か1週間くらい膝が腫れることもあります。しかし、それは必ず収まって、腫れが出た人ほどよくなる傾向があります。しかし、反応痛は必ず治るものですので、それが大きなリスクになることはありません。

他のリスクは、注射の手技に伴う感染のリスクとか、針を刺した時に出血するリスク等で、ヒアルロン酸注射とほぼ同じになります。

治療中に気を付けること

膝に負担をかけることを避ける

健康な人でも正座して半月板を痛めている人もいます。再生医療の治療中はできるだけ膝に負担をかけないほうが、痛みも軽減します。組織の修復も起きますので、激しい運動はしばらく控えたほうが良いでしょう。また、歩きすぎたり、階段をたくさん使ったりするなど、そういう運動も少し控えたほうが良いです。正座みたいな膝に負担のかかる動作もしばらく控えたほうが良いです。また、正座は膝が痛くなくてもなるべくしない方がいい動作です。正座するだけで膝を傷める人がいますので、無理な運動は避けるのが良いでしょう。

再生医療とヒアルロン酸との併用は出来ない

通常、再生医療を始めたら、ヒアルロン酸は使わないのが普通です。痛みが緩和して、状態がよくなれば、そのままヒアルロン酸を使わなくてよくなるということは多いです。ただ、やはり痛みの緩和にも限界もありますので、再生医療で治療したけど、痛みが取れなかったという方に関しては、そのあとヒアルロン酸を使うことも稀にあります。

治療の効果はステージや生活様式にもよる

変形性膝関節の進行ステージが進んでいるほど、再生医療で痛みを取りにくいというのも確かにあります。また、それと同時に治療効果の出具合は患者様の生活様式にも深く関わってきます。例えば、生活習慣で重いものを持つ仕事だったり、膝を休めることができない生活スタイルがある場合は、効果が実感しにくい傾向にあります。ですので、お仕事で重労働をしている方は、なかなか休めないので、時として効果を実感しにくいかもしれません。そのような場合は、できるだけ休みの日に、膝を休めて生活のバランスをとることが大切です。

再生医療で様々な症例を治療可能

治療は定期的に行うことも可能

定期的な治療は可能です。再生医療は何回打ってもいい、安全な治療です。バレエや野球など、スポーツの選手でも何回も繰り返している人もいます。また再生医療でPRPと脂肪由来幹細胞を併用することも可能です。

半月板の損傷にも効果的

若い方で、半月板の損傷がある方もいます。そのような方にも再生医療は効果的です。再生医療は、半月板の損傷に対してよく使う治療方法です。再生医療は、半月板の損傷は痛みの軽減にも効果的です。若い方でしたら、痛みが良くなって楽になるケースも実際にあり、再生医療は良い適用になってます。ただ稀に半月板が不安定で治療が困難なケースもあり、そのような場合は手術が必要な時もあります。膝の手術をする前の段階の治療として再生医療を検討するのは、一つの良い選択肢と言えるかもしれません。

「膝に水がたまる」という症状にも効果的

再生医療は、関節水症(膝に水がたまること)にもよく用いられる治療です。変形性膝関節症が起きると、周囲の組織がどんどん炎症を起こしていき、ひざのお皿の上部に水(関節液)がたまりやすくなっています。関節包やら滑膜やら骨以外の組織です。炎症がある所には水が集まってきます。膝の関節の中に水が溜まっているというのが関節水腫です。

原因は様々ですが、PRP・幹細胞の再生医療を行えば、炎症を抑える力があります。治療を行うことで、水がたまらなくなりますし、炎症が治まり、痛みも減ります。再生医療は、炎症があって水が溜まっているというような症例が起きている膝にもよく用いられる治療です。

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