一般的な治療法

サプリメントについて

膝痛・関節痛へのサプリメントの種類

膝の痛みの原因

年齢を重ねるにつれて起こる膝の痛みや違和感は、膝関節の軟骨成分が減少することが主な原因です。膝の軟骨は、骨と骨の間でクッションのような役割を果たしており、膝を曲げたり伸ばしたりという動作をスムーズに行えるよう潤滑油の役割をしています。

しかし、年齢と共に軟骨がすり減り、骨と骨が直接こすれあうようになることで痛みが生じます。特に膝は、体重を支えているため、軟骨がすり減りやすく痛みが出やすい部位でもあります。

サプリメントの成分

軟骨には血管や神経はなく、軟骨の細胞と細胞外成分の軟骨基質からつくられています。細胞の数は非常に少なく、約70%が水分で、次にII型コラーゲン、プロテオグリカンの順で多くを占め、ヒアルロン酸も存在しています。プロテオグリカンは、蛋白とネバネバしたムコ多糖が結合したものです。軟骨のムコ多糖には、コンドロイチン硫酸とケラタン硫酸があります。
変形性膝関節症などにたいするサプリメントには、この軟骨基質の成分であるコラーゲンやプロテオグリカンなどが主流です。

コラーゲン

Ⅱ型コラーゲン

コラーゲンにはⅠ型・Ⅱ型・Ⅲ型と、現在わかっているもので約30種類のコラーゲンがあります。その中でも軟骨に存在するコラーゲンがⅡ型コラーゲンです。Ⅱ型コラーゲンは、軟骨の中で水分が逃げていかないようにする役割を果たしています。軟骨内でⅡ型コラーゲンが不足すると、弾力が失われて軟骨がすり減り、関節のこわばりや変形、痛みの主な原因になります。

Ⅱ型コラーゲンのサプリメントの中でも、最近注目されているのが「非変性のⅡ型コラーゲン」です。

コラーゲンは抽出加工の際、熱を加えると、もともとのコラーゲンの型が変化を起こしてしまいます。 「非変性」とは、加工の際に変化しないように、コラーゲンそのものを本来の状態で抽出したものを指します。非変性の状態でないコラーゲンは、サプリメントとして摂取した場合、胃などで一度分解されてアミノ酸となってしまいます。こうなると、ただの栄養素として吸収されてしまい、Ⅱ型コラーゲンとしての働きが期待できません。非変性コラーゲンは、胃などで分解吸収されずに腸まで届き、そのままの状態で吸収されるため、体内でⅡ型コラーゲンとして機能するといわれています。

コラーゲントリペプチド

コラーゲントリペプチドとは、3個のアミノ酸からできたコラーゲンの「最小単位」のことです。大きさは、食べ物に含まれるコラーゲンの1/1000、一般的なコラーゲンサプリメントの1/20~1/50と、とても小さく、そのままの形で小腸から吸収されます。

食べ物に含まれるコラーゲンや、一般的なコラーゲンのサプリメントは、アミノ酸がいくつも連なった大きなかたまりで、そのままでは体内に吸収されず、胃や腸で一旦アミノ酸に分解された後に体内に吸収されます。そして、再びコラーゲンに合成されるという遠回りな吸収のされ方をします。しかも、吸収されたアミノ酸の大部分はタンパク質として合成されるため、コラーゲンとしての合成量はほんのわずかです。

一方、コラーゲントリペプチドは、一旦分解されることなく、そのまま腸管から直接コラーゲンとして素早く吸収されるため、一般的なコラーゲンサプリメントよりも体内への吸収性が高いことが研究で証明されています。

ウサギの膝関節を用いた動物実験では、一般的なコラーゲンペプチドを飲ませたグループと何も飲ませないグループと比較して、コラーゲントリペプチドを飲ませたグループの方が傷が小さくなり、ウサギの膝関節の状態が改善したとの報告があります。また、コラーゲンは軟骨だけでなく、皮膚、骨、腱、血管壁などにも存在し、皮膚には弾力性と柔軟性をもたらし、骨ではその枠組みを作っています。動物実験では、コラーゲントリペプチドを経口摂取させると、骨折や腱断裂の治癒が促進されることも証明されています。人の変形性膝関節症に対する臨床試験でも、関節症からくる諸症状を軽減する、という報告もあるようです。

グルコサミン

グルコサミンは、アミノ酸の一種で、人体で生成された後に軟骨や結合組織に広く分布するようになります。

関節の軟骨には、ムコ多糖類という、ネバネバした物質が含まれており、グルコサミンは人の体内で合成され、ムコ多糖の構成成分となります。この合成能力は老化で衰えていきますが、グルコサミンを補給することで、ムコ多糖類の合成能力が上がり、軟骨のすり減りを抑えて関節の動きを滑らかにし、関節痛を改善する効果があるのではないかと期待されています。

コンドロイチン

コンドロイチンは、ムコ多糖の一種で、軟骨の成分であるプロテオグリカンを構成する成分です。混同されやすいですが、グルコサミンとコンドロイチンは2つの異なる分子です。コンドロイチン(硫酸コンドロイチンとも呼ばれる)は、複雑な構造の炭水化物の化合物で、人体では主に関節の軟骨に存在します。

アメリカの国立衛生研究所による変形性膝関節症の臨床研究では、グルコサミン単独で服用した場合と、コンドロイチンと併用した場合の効果を、有効成分の入っていない偽薬を服用したグループとの間で比較したところ、24カ月間の服用後では、軟骨のすり減り具合などにおいて、いずれの結果も単独・併用・偽薬との間に差はなかったという報告があります。

プロテオグリカン

プロテオグリカンは、たんぱく質に糖が結合した糖たんぱく質のことです。体内では、軟骨や皮膚に存在しています。軟骨では編み状に張り巡らされたII型コラーゲンの間を縫うように存在し、極めて大きい保水力をもっています。軟骨がクッションのような役割を果たすことができるのも、プロテオグリカンのネバネバした粘弾性のおかげです。

プロテオグリカンは、軟骨の細胞を増殖させたり、増殖させた軟骨の細胞が早く軟骨を形成するよう促してくれる作用があると考えられています。これらの働きにより、軟骨の再生や加齢による軟骨の減少の予防をすることができると期待される注目の成分です。

また、肌においては保水力に優れているため、肌にハリや潤いを与える役割を持っています。

サプリメントの効果

グルコサミンやコンドロイチン、注目成分のプロテオグリカンなど、膝関節の痛みに対するサプリメントの成分は、どれも細胞や軟骨に存在する物質を主成分にしています。
膝の痛みは、加齢による軟骨のすり減りが主な原因のため、軟骨を構成しているグルコサミンなどの成分をサプリメントで摂取することで、減ってしまった軟膏を補うというものです。しかし、口から摂取した成分は胃腸で分解されて、血液にのって全身を巡ります。また、体内では生命維持のため、全身の細胞が栄養素を必要としています。一旦栄養素として体内に吸収された後は、例え膝関節のために摂取した成分が、必ずしも膝関節の軟骨に成分が届くとは限りません。

例えばグルコサミンは、軟骨の成分であるヒアルロン酸を構成するムコ多糖類のうちの1つです。軟骨は主柱となるタンパク質のコラーゲン、それを束ねるヒアルロン酸と、水分を保持するコンドロイチン硫酸などの糖鎖(“糖“が”鎖”のように連なった状態のこと)で構成されており、糖鎖に使われる成分は、基本的にブドウ糖を原料として体内で合成されます。
代謝で考えてみたときに、成人女性に必要とされる摂取カロリーを1日約2000キロカロリーとして、その食事の6割が炭水化物などの糖質とすると、約300グラムのブドウ糖がエネルギーと生体組織の合成に使われています。そこに、わずか1~2グラムのグルコサミンをサプリメントで摂取したところで、関節の軟骨にまで十分な量が行き渡り、効果を実感できると考えるのは無理があるかもしれません。

プラセボ効果

「効果がある」と信じて飲むことで、有効成分が入っていない偽薬でも高い効果を示すことをプラセボ効果といいます。医薬品開発では、患者と効果を判定する医師にどれが本物の薬かを知らせずに、治験薬と偽薬を無作為に投与して効果を比較する「二重目隠し試験」というものを実施しています。近年、このような大規模な試験において、膝痛に効果があると謳われて販売されているグルコサミンの有効性を否定する論文がでていることも確かです。

それでも、膝痛のサプリメントを飲んで効果を実感しているという人もいます。
効果を実感できているのであれば飲み続けるのもいいでしょう。

しかし、効いているかどうかわからない場合は、飲み続けるのはお金の無駄になってしまう可能性もあります。

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